悲願(side:Bermuda) ページ44
重苦しい空気が、暗い牢獄全体に浸透している。
牢獄の上層には獄囚の血がこびりついた堅牢な檻。
そして最下層には脱出不可能の水牢が立ち並んでいた。
それらのどの牢に入れられている囚人も、声ひとつ上げずに死人のごとく口を閉ざしている。
僕はその罪人たちを視界の端にも入れぬまま、薄暗い通路を進んで行く。
ここは、難攻不落の『復讐者の牢獄』。
僕は復讐者を束ねる長として、永く裏社会の罪人たちを裁いてきた。
包帯が巻かれた手を、ぐっと握り締める。
僕はかつて呪いを受けて、
時の経過とともに自身の体が呪いに耐えられなくなり、そしてチェッカーフェイスに使い捨て同然に切り捨てられてから、どれほどの年月が経っただろう。
純粋なる絶望によりこの世に繋ぎとめられたこの体。
絶望を糧とする『夜の炎』を生み出したあの時から、チェッカーフェイスへの復讐の念だけが、僕を動かす力となった。
チェッカーフェイスは、滅多に姿を現さない、まるで存在しない男。
そんな彼が唯一姿を見せるのが、代理戦争決着後の一瞬だった。
だから僕は、スカルくんのチームから時計を奪い、代理戦争に無理やり参加した。
代理戦争で優勝し、生身のチェッカーフェイスと接触する機会を得るために。
そして彼とまみえたその瞬間に、この手でチェッカーフェイスを殺すのだ。
チェッカーフェイスを倒すということは、僕や歴代のアルコバレーノたちを苦しめた『アルコバレーノシステム』を壊すことと同義。
システムを壊せば、僕や復讐者や現アルコバレーノはこのシステムとともに心中することになるだろう。
だがこの身の破滅など、復讐を前にしたら比べるべくもない。
同じ志を持つ者を選りすぐって、ともに戦う仲間も得た。
僕は、彼らとともに今度こそ、チェッカーフェイスへの復讐を果たす。
(明日で、全てを終わらせよう)
この呪われた生を断ち切ることになろうとも。
我々の悲願のためには、仕方のない犠牲なのだから。
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りり(プロフ) - みーさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行しますので、そちらでもよろしくお願いします！ (2017年7月23日 18時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - ゆ、夢主ぃ！！！覚悟決めたのね…！最後まで応援してるよ夢主！！！ (2017年7月23日 14時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 鈴写さん» どうしても越えられない一線はやっぱりあるのかなと思いまして。汲み取っていただけて嬉しいです！ (2017年7月23日 7時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
鈴写 - 寂しいの話、悲しいなぁ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 0e41f4585d (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - みーさん» 2人に会話をさせていたら自然と風紀委員長がログインしていました(笑) (2017年7月19日 21時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月24日 22時
