帰宅 ページ42
目を覚ました時、既に日が昇っていた。
私は寝ぼけ眼をこすりながら緩慢な動作で体を起こす。
小さく伸びをして、時計をきょろきょろと探した。
「あ……時計はないんだ」
昨夜確認した事実を思い出し、ふらりと立ち上がる。
スッと襖を開けて、昨日歩いたのと同じ道を辿った。
＊＊＊
昨日(正確には今日の夜中)、私はいつ眠ったんだっけ。
あまりはっきりと覚えていないけれど、恭弥くんに「おやすみ」を言った記憶はない。
もしやあの時恭弥くんに抱きついて、そのまま寝てしまったんだろうか。
あの夜はさほど眠気はなかったはずなのに。
それでも眠りに誘ってしまうほど、恭弥くんの側は安心できるということか。
私が1人で納得して頷いていると、隣を歩く恭弥くんが怪訝そうな顔をした。
ちなみに今、私は恭弥くんに付き添われて自宅に向かっている。
起きてすぐに部屋を出た私は、さほど距離を進まないうちに恭弥くんとばったり出会った。
その時に私が「自宅に戻りたい」という旨を伝えたのだ。
恭弥くんは少し渋ったあと了承し、自宅まで送ってくれることになった。
「私、両親に何も言わないで出てきちゃったんですよ」
家に帰る道すがら、私は帰宅を急ぐ理由を話した。
イェーガーに強制移動させられたのが昨日の午後9時あたり。
あれからざっと10時間ほどが経っている。
両親が私の不在に気づいているのかは分からないが、早めに戻るに越したことはない。
＊＊＊
無事家に到着した。
私は恭弥くん宅から借りてきたサンダル(彼の母の物らしい)を脱いで家に入る。
恭弥くんは本日はずっと一緒にいてくれるとのことだったので、私は大喜びしながら彼を家に上げた。
玄関での物音に気づいたらしい母が、ひょこっと部屋から顔を出す。
「あら……？」
「あ、おはよ母さん。ちょっと散歩してきた！」
まだ自室で眠っているはずの娘が外からやって来たためか、母は不思議そうに私を見ていた。
焦った私はとっさに言い繕って、微妙な笑みを浮かべる。
天然のきらいがある母は「珍しいわねえ」なんて言って笑っていた。
……自分で騙しておいてなんだけど、彼女はもう少し人を疑った方が良いと思う。
「恭弥くんも久しぶりね。いつもAが迷惑かけてるでしょう」
「……いや」
恭弥くんは少し間を空けてそう答えた。
何となく見上げた先にあった恭弥くんの表情は、いつもより硬い。
あれ、緊張してる？
珍しいこともあるものだ。
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りり(プロフ) - みーさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行しますので、そちらでもよろしくお願いします！ (2017年7月23日 18時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - ゆ、夢主ぃ！！！覚悟決めたのね…！最後まで応援してるよ夢主！！！ (2017年7月23日 14時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 鈴写さん» どうしても越えられない一線はやっぱりあるのかなと思いまして。汲み取っていただけて嬉しいです！ (2017年7月23日 7時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
鈴写 - 寂しいの話、悲しいなぁ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 0e41f4585d (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - みーさん» 2人に会話をさせていたら自然と風紀委員長がログインしていました(笑) (2017年7月19日 21時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月24日 22時
