望み ページ41
恭弥くんに腕を引かれ、私は先ほどまで自分が眠っていた部屋に戻ってきた。
私は敷かれたままの布団の上にすとんと座る。
恭弥くんも私の正面に腰を下ろした。
座ったきり何も話さない恭弥くん。
沈黙が痛い。
なんだか居心地が悪くなってきた。
そして沈黙に耐えられなくなった私は、ついに「あの、」と控えめに声をかける。
「恭弥くん、寝なくて大丈夫ですか？」
現在時刻は分からないままだが、辺りの暗さから察するに相当遅い時間なのではなかろうか。
彼が黙り込んでいるのは、もしや眠気に襲われているせい？
尋ねた後でその可能性に気づいた。
しかし、恭弥くんはゆるりと首を横に振る。
「そう、ですか？なら良いんですけど……」
そして再び沈黙が訪れた。
……何なんだこの空気は。
私も妙に目が冴えてしまった。
何も言わずにただ私の側にいる恭弥くんをちらりと見て、そっと目をそらす。
それを何度か繰り返すうちに、いくらかこの状況にも慣れてきた。
心に余裕が生まれた私は、恭弥くんの服の袖を軽く引っ張ったり、彼の手を持ち上げたりして遊び始める。
その様子をじっと見つめていた恭弥くんが不意に口を開いた。
「炎は使うなって、言ったはずだよ」
私はピタリと手を止めて、ゆっくりと顔を上げる。
恭弥くんはまっすぐに私の目を見つめていた。
「もう後がないって、自分で分かってるよね」
確認するように尋ねられたその言葉に、私は小さく頷く。
残り1回、だと思われる。
私があと1回でも炎を使えば、確実に炎は底を尽きる。
そしてその1回を使う時は、私がこの世界からお別れする時だ。
炎の枯渇による死。
元の世界への帰還。
『お別れ』が意味するところが、そのどちらであったとしても。
「『ずっと側にいる』んだろ」
恭弥くんが、かつての私の言葉を繰り返す。
そうだ。
それは紛れもない本心だった。
恋心を自覚していない頃からの望みだった。
自覚してからは、さらにその思いは強くなった。
私は目を伏せる。
彼のまっすぐな視線から逃れるように。
そしておもむろに彼に抱きついて、肩口に顔を埋めた。
『もちろん！ずっと一緒にいます！』
喉元まで出かかったその言葉を、ぐっと飲み込んで。
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りり(プロフ) - みーさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行しますので、そちらでもよろしくお願いします！ (2017年7月23日 18時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - ゆ、夢主ぃ！！！覚悟決めたのね…！最後まで応援してるよ夢主！！！ (2017年7月23日 14時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 鈴写さん» どうしても越えられない一線はやっぱりあるのかなと思いまして。汲み取っていただけて嬉しいです！ (2017年7月23日 7時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
鈴写 - 寂しいの話、悲しいなぁ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 0e41f4585d (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - みーさん» 2人に会話をさせていたら自然と風紀委員長がログインしていました(笑) (2017年7月19日 21時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月24日 22時
