一瞬 ページ34
イェーガーの操る鎖が恭弥くんのトンファーを絡め取り、ギチリと耳障りな音を立てる。
動きを封じられた恭弥くんの腹をめがけて足をしならせるイェーガー。
恭弥くんは拘束されたトンファーを手放すことでそれを避けると、『増殖』した雲ハリネズミのロールを足場にイェーガーから距離を取った。
イェーガーは鎖をひとつ振るって、絡め取っていたそれを地面に落とす。
静かな夜の公園にカランッと澄んだ音が響いた。
その時、私の目は一瞬だけイェーガーから外れ、トンファーに向いた。
その、一瞬の間のことだった。
「、ぐッ！」
私の隣から、呻き声が聞こえた。
私はハッとして声の主の方を振り返る。
そこでは、ディーノが苦痛に顔を歪めていた。
その肩からは真っ赤な鮮血が舞っている。
思わず目を見開いた。
あまりの出来事に、手で口元を覆う。
(今、ショートワープした？)
ディーノは完全に不意を突かれたようだったが、急所は避けていた。
そのことに安堵するも、イェーガーの姿が見えないことに気づいてドクリと心臓が大きく脈打つ。
瞬間、首元にひやりとした感覚。
ほとんど反射的に体を前に倒す。
頭上でイェーガーの鎖がビュッと空を切る音が聞こえた。
(あぶっ……危なっ！！)
イェーガーがいまだ攻撃体勢を取っていることに気づき慌てて立ち上がる。
すると私の背後に降り立った恭弥くんに瞬く間に担ぎ上げられた。
恭弥くんは私を肩に担いだまま後ろへ跳び、イェーガーの攻撃を避ける。
スカートをはいていなくて良かった。切実に。
そんなことを思いながら「おろして、」と恭弥くんに訴えかける。
恭弥くんはそれをガン無視した。
私は焦る。
(この体勢じゃ、イェーガーの動きが見えない……！)
再度訴えかけようとした、その時。
「なっ、消えた！？」
ディーノの焦った声が耳を打つ。
「え、」
そしてその瞬間、恭弥くんの背後、つまり私の正面に、突如現れたイェーガーの姿。
私はそれを認識するや否や、イェーガーがショートワープを使ったのだと察した。
イェーガーがとどめを刺そうと構える姿をとらえた。
恭弥くんとディーノは、まだイェーガーが瞬間移動したことに気づいていない。
迷いはなかった。
私は余力を振り絞り、夜の炎を灯した。
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りり(プロフ) - みーさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行しますので、そちらでもよろしくお願いします！ (2017年7月23日 18時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - ゆ、夢主ぃ！！！覚悟決めたのね…！最後まで応援してるよ夢主！！！ (2017年7月23日 14時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 鈴写さん» どうしても越えられない一線はやっぱりあるのかなと思いまして。汲み取っていただけて嬉しいです！ (2017年7月23日 7時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
鈴写 - 寂しいの話、悲しいなぁ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 0e41f4585d (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - みーさん» 2人に会話をさせていたら自然と風紀委員長がログインしていました(笑) (2017年7月19日 21時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月24日 22時
