2日目 ページ26
代理戦争は今日も続く。
今日からディーノが英語教師として並中にやってきた。
彼の突然の登場に驚いたのか、ツナたちは放課となるや否やディーノと連れ立って屋上に向かった。
クラスの女子たちも、それを見てぞろぞろと教室を出て行く。
「ディーノさん人気だね」
「ふふっそうだね！」
私がそう言うと、京子ちゃんは楽しそうに笑った。
しかしふと表情を曇らせる。
京子ちゃんはちらりと、とある机に視線を向けた。
「クロームちゃんは、大丈夫かな？
昨日から体調崩してたみたいだけど……」
京子ちゃんは心配そうに眉を下げた。
本日学校を休んだクロームを気にかけているらしい。
確かこの時期のクロームは、精神面の問題で骸の幻覚を受けつけなくなっていたはず。
つまり、骸によって補われていた幻覚の内臓が、ほころび始めているのだ。
(未来の時みたいにクロームが自分で内臓を補うなら、力を貸せるんだけど……)
しかしそれがなされるのは、クロームが覚悟を決めた時だ。
そしてその時には、彼女は私の助けなど必要ないほどに強くなっている。
しかも。
(……そもそも今、手元にリングがないから、結局手伝えないんだった)
もう1、2度使えば炎が尽きるこの体で、クロームの役に立てるとも思えない。
私は人知れず気落ちした。
＊＊＊
あ、恭弥くんだ。
京子ちゃんと別れてから玄関へ向かう道のりで、前方に恭弥くんを見つけた。
恭弥くんは、資料を抱えたディーノと話している最中だった。
私は無意識に近くの教室に身を潜める。
……だから、私はなんで隠れてるんだ。
自分の行動に首を傾げつつも、出て行く気にはなれなかった。
廊下の方から微かに話し声が聞こえてくる。
ディーノの呆れたような声。
恭弥くんの楽しそうな声。
わずかに聞き取れる話の内容から察するに、恭弥くんはディーノに戦闘の約束を取り付けているらしい。
(楽しそう、恭弥くん)
自然と頬が緩む。
そしてやはり、ディーノを羨ましく思った。
恭弥くんに「戦闘」という名の楽しみを与えられる存在。
ディーノだけでなく、昨日の獄寺くんや山本も。
(私は恭弥くんに何をしてあげられたのかな)
身を潜めた教室の壁に背をつける。
そのままゆっくりと床に座り込んだ。
膝を抱えて、少しずつ息を吐き出す。
(私がいなくなっても、恭弥くんは大丈夫だ)
彼には遊び相手がたくさんいる。
退屈をすることはないだろう。
寂しいけど、……良かった。
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りり(プロフ) - みーさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行しますので、そちらでもよろしくお願いします！ (2017年7月23日 18時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - ゆ、夢主ぃ！！！覚悟決めたのね…！最後まで応援してるよ夢主！！！ (2017年7月23日 14時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 鈴写さん» どうしても越えられない一線はやっぱりあるのかなと思いまして。汲み取っていただけて嬉しいです！ (2017年7月23日 7時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
鈴写 - 寂しいの話、悲しいなぁ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 0e41f4585d (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - みーさん» 2人に会話をさせていたら自然と風紀委員長がログインしていました(笑) (2017年7月19日 21時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月24日 22時
