攻防 ページ25
獄寺くんたちを校舎内から見下ろしていた私は、ある人物の登場に「あっ！」と声を上げた。
(恭弥くんだ！)
ツナの元へ向かおうとする彼らの前に、恭弥くんが立ち塞がった。
その頭にはアルコバレーノの風が乗っている。
私は彼らに存在を気取られないよう、できる限り息を潜める。
眼下では早くも攻防が始まっていた。
恭弥くんがトンファーで獄寺くんたちを襲う。
了平さんは意気込んでいたものの、早くも
あれを壊されては、代理として戦闘を続けることができない。
残る獄寺くんと山本は互いに顔を見合わせると、匣を開匣した。
そして獄寺くんは、恭弥くんに向けてダイナマイトを投げつける。
しかしそのダイナマイトに導火線はなく、効果も煙を吹き上げるのみにとどまった。
要は目くらましである。
「今だッ、走れ！」
「おう！」
獄寺くんと山本は戦線離脱を試み、煙幕に乗じて逃げ出した。
私はそれを目で追おうとするも、私がいる階まで立ちのぼってきた煙に視界を覆われてしまった。
私はごほごほと咳き込み涙目になりつつも、必死に外を見ようと目を凝らす。
恭弥くんは煙幕に動じず、トンファーに仕込んだ玉鎖で追撃をかけていた。
それは正確に山本を襲う。
煙により視界を奪われている状況下で、このコントロール。
語彙の貧弱な私にはさすがとしか言えなかった。
煙も晴れてきた頃、私の鼻先にポタッと雫が落ちた。
(雨？)
気づけば、雨が降り出している。
さっきまで、雨雲ひとつ見受けられなかったのに。
不思議に思い首を傾げる私の目の前を、青い炎を纏った燕が横切った。
(あ、そうだった)
これは自然の雨ではない。
山本の匣アニマルの雨燕が降らせた、「鎮静」の効果を持つ雨だ。
「鎮静」の作用により動きを鈍化させられた恭弥くんが、苛だたしげに空を見上げる。
私はびくりと肩を震わせ、とっさに窓から離れた。
(……な、なんで隠れたんだ私)
何となく、見つかってはいけないような気がした。
そしてその足で教室を後にする。
(みんな、すごかったな)
獄寺くんと山本のコンビネーション。
恭弥くんのずば抜けて優れた戦闘センス。
そして戦闘時に見せる恭弥くんの楽しげな表情は、私が引き出すことのできないものだった。
(ちょっと、羨ましい)
私も戦えたらなあ。
そんなどうしようもないことを考えながら、私は玄関へと歩き出した。
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りり(プロフ) - みーさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行しますので、そちらでもよろしくお願いします！ (2017年7月23日 18時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - ゆ、夢主ぃ！！！覚悟決めたのね…！最後まで応援してるよ夢主！！！ (2017年7月23日 14時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 鈴写さん» どうしても越えられない一線はやっぱりあるのかなと思いまして。汲み取っていただけて嬉しいです！ (2017年7月23日 7時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
鈴写 - 寂しいの話、悲しいなぁ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 0e41f4585d (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - みーさん» 2人に会話をさせていたら自然と風紀委員長がログインしていました(笑) (2017年7月19日 21時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月24日 22時
