油断 ページ15
「気づいていると思うが、ここは夢の中だ。
私と君以外は誰1人として存在しない」
チェッカーフェイスはそう言うとコツコツと靴音を立ててこちらに歩いて来る。
この部屋には私の座る椅子以外に腰を落ち着けられるところは無い。
私だけ座っているのが申し訳なくなって立ち上がろうとするが、私の目の前に立ったチェッカーフェイスがそれを制す。
「私にとって君はもてなすべき客人なのだ。
気を張らずに、そのまま寛いでくれて良い」
「は、はあ」
チェッカーフェイスが私の背後に回る。
彼は私が腰掛ける椅子の背もたれに手を置くと、立ったまま話し始めた。
「君をこの世界に招いてから10年ほど経つか。
ここでの生活はどうだった？」
「え……えっと」
「ああ、安心し給え。私は君の事情を知っている。
君を異世界から受け入れることを受諾したのは私だからね」
えっそうなの？
私は驚きつつも、同時に「この人には何も隠し事をしなくて良い」と知って安堵した。
出来ることなら嘘など吐きたくはないのだ。
「そうでしたか、ありがとうございます。
……ここでの生活はかけがえのないものになりました。
大好きな人たちがたくさんいる、大好きな世界です」
原作を変えられないために、苦しむみんなをただ見つめることしか出来ないのが、歯痒いけれど。
そう付け加えようとした次の瞬間、全身を痛いほどの熱が駆け抜けた。
(え？)
覚えのある、この感覚。
これは前に一度だけ経験した。
これは、警告だ。
本能が「話すな」と言っている。
(この感覚がしたってことは)
今チェッカーフェイスに告げようとした言葉が、許可証の条項に触れるものだということだ。
たらりと冷や汗が頬を伝った。
しかし、チェッカーフェイスは私の事情を汲んでくれているはずではなかったのか？
何でも話しても良い存在ではなかったのか？
焦る私の頭に、ふと、ある仮定が浮かび上がった。
(まさかチェッカーフェイスが知っているのは、私が「別世界から来た」という事実だけ？)
私は思わず頭を抱えそうになった。
そりゃそうだ。
チェッカーフェイスだって、どれ程チートだろうと結局はリボーンの作中に登場するキャラクター。
彼だって、まさか自分の生きる世界が「漫画」として別世界に存在するなんて、思ってもいないだろう。
ならばやはり、私はこの人にも全てを包み隠さず話すことはできないのか。
何だか一気に疲れてしまって、私はかっくりと肩を落とした。
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りり(プロフ) - みーさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行しますので、そちらでもよろしくお願いします！ (2017年7月23日 18時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - ゆ、夢主ぃ！！！覚悟決めたのね…！最後まで応援してるよ夢主！！！ (2017年7月23日 14時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 鈴写さん» どうしても越えられない一線はやっぱりあるのかなと思いまして。汲み取っていただけて嬉しいです！ (2017年7月23日 7時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
鈴写 - 寂しいの話、悲しいなぁ (2017年7月22日 23時) (レス) id: 0e41f4585d (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - みーさん» 2人に会話をさせていたら自然と風紀委員長がログインしていました(笑) (2017年7月19日 21時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月24日 22時
