気持ち ページ30
ぼんやりと意識が浮上する。
風邪をひいた時に陥る、ぐわんぐわんと頭が揺れる感覚。
久しぶりに風邪ひいたもんなあ、と懐かしさを覚える。
がちゃりと音を立てて、自室の扉が開かれる。
母さんかな、と思ってうっすらと目を開けると、そこにいたのは恭弥くんだった。
「……え」
掠れた声が出る。
恭弥くんは私が起きているのを確認すると、部屋に入ってベッドに座る。
「風邪ひいてたんなら外に出るな」
必然的に私に背を向ける形で座った恭弥くんは、視線を寄こさず言った。
心配してくれたのかな。
けれど、さっきの恭弥くんとの会話を思い出して素直に喜ぶことができない。
「違います、家に帰ってからひいたんです」
これは本当のことだけど、我ながら嘘っぽい。
恭弥くんは私をジト目で見ると、ハアとため息をついた。
面倒な奴だとでも思ったんだろうな。
私もそう思う。
最近の私は色々とわがままだ。
優しくしてほしいし、側に居たいと思う。
初めはこんなんじゃなかったのに。
「怒ってんの、君」
恭弥くんが尋ねた。
「……別に」
私は答えた。
恭弥くんはまたこちらを見る。
私は口元を引き結んでそっぽを向いた。
……私、結構命知らずなことしてるよな。
殴る蹴るは甘んじて受け入れるけど、これを機に絶交になったらどうしよう。
恭弥くんと一緒にいられなくなるのは嫌だ。
でも恭弥くんは私に迷惑しているみたいだし……
もう、どうしようもないのかな。
そう思って泣きそうになっていると、恭弥くんが顔を背けて言った。
「……別に迷惑だったわけじゃない」
ぽつりと落とされた言葉に、え？と声が漏れる。
「ただ、本当にいらないってだけ。
君喧嘩はできないでしょ」
「……わ、私だって鍛えれば、戦えま、」
「必要ない」
……こんな時でも優しい言葉をかけてくれないのかこの人は！
まあこれが恭弥くんなんだよな、と思ってため息をつく。
疲れたな。うだうだ思い悩むの。
「……そーですか。
いいですよもう。精々、喧嘩に巻き込まれたら素直にやられるしかない私を憐れんでください」
「それが嫌だから連れて行きたくないんだよ」
え。
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りり(プロフ) - みーさん» お楽しみいただけているのでしたら嬉しいです！これからどんどん絡みを増やしていきたい…ので頑張ります！！ (2017年4月22日 20時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - あぁーー！！！萌える展開ごちそうさまです！続き楽しみに待ってます！ (2017年4月22日 18時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - liar@嘘つきさん» 多分このすれ違いはしばらく続きますw 応援ありがとうございます！完結まで頑張ります！ (2017年4月10日 22時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
liar@嘘つき(プロフ) - 主人公ちゃんと雲雀さんのすれ違ってる感じが良いですね！良いねボタンがあったら50回以上押してたかもw これからも無理せず頑張ってください (2017年4月10日 22時) (レス) id: fa6b5c8eda (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - さにー☆彡さん» ありがとうございます！平日の更新は不定期になりますが、頑張ります！ (2017年4月9日 19時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年4月8日 0時
