黒 ページ28
恭弥くんはよく町の見回りをして、不良を見つけては締め上げている。
人が殴られる姿は正直あまり見たくないけど、恭弥くんの勇姿は見たい。
だからいつも一緒について行こうとするけれど、彼はその度に否と唱えるのだ。
今日も見回りに私がついて行くことを頑なに拒む恭弥くんに詰め寄っていた。
「余計なことしませんから、お願いします！一回だけでも！」
「しつこい」
いつもの会話ならここらで引き下がるのだが、今回はいつもと事情が違う。
恭弥くんは骸との戦いで傷ついた体が完治していない。
彼がそこらの不良相手に負けることは無いだろうけど、傷口が開いたりしたら事だ。
そんなお節介もあって、今回は負けじと食い下がる。
「何でダメなんですか？
うるさいんなら黙ってついていくので！」
「無理だろ」
「ですね！！でも努力はするので……
ついて行かせてください、今回限りですから！」
恥を捨てて必死に頼み込む。
しかし恭弥くんは全く揺らいだ様子がない。
それどころか思いっきり顔をしかめて、「何回も言ったよね」と冷たく見下ろし、
「君はいらない」
と吐き捨てた。
いつも言われてきたことだ。
見回りは僕だけで十分、君は必要ない。
私が頼みこむ度に彼はそう言ってくるので、今回が特別だった訳ではなかった。
けれど
『こちら側に、お前はいらない』
不意に頭をよぎるものがあった。
温度を感じない、無機質な声。
それが恭弥くんの声と重なったように感じて、びくりと肩を揺らす。
いらない。
……いらない、か。
「……どうしたの？」
いつもは反応を返す私が黙り込んだのを不審に思ったのか、恭弥くんが一歩、私に近づく。
私は無意識に、一歩退いた。
「！」
「……そ、ですか」
何だか泣きそうになった。
彼の拒絶を全身で受け止めてしまった感覚がした。
私は走ってその場を逃げ出した。
一瞬遅れて、恭弥くんが追いかけてくる気配がした。
逃げ切るのは無謀だと思いつつも、少しでも遠ざかりたくて、町角を曲がりに曲がって彼の視線を切る。
(もう嫌だ。私、調子に乗ってた。馬鹿じゃないの)
馬鹿だ馬鹿だと言われ続けてきた。
なんで聞き流していたの、私はこんなにも馬鹿なのに。
何なの私、馬鹿じゃないの。
いっそ、消えたい。
強い思いが頭の中を占めた時、目の前に真っ黒な炎が灯った。
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りり(プロフ) - みーさん» お楽しみいただけているのでしたら嬉しいです！これからどんどん絡みを増やしていきたい…ので頑張ります！！ (2017年4月22日 20時) (
レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
みー - あぁーー！！！萌える展開ごちそうさまです！続き楽しみに待ってます！ (2017年4月22日 18時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - liar@嘘つきさん» 多分このすれ違いはしばらく続きますw 応援ありがとうございます！完結まで頑張ります！ (2017年4月10日 22時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
liar@嘘つき(プロフ) - 主人公ちゃんと雲雀さんのすれ違ってる感じが良いですね！良いねボタンがあったら50回以上押してたかもw これからも無理せず頑張ってください (2017年4月10日 22時) (レス) id: fa6b5c8eda (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - さにー☆彡さん» ありがとうございます！平日の更新は不定期になりますが、頑張ります！ (2017年4月9日 19時) (レス) id: 9b4824fc1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年4月8日 0時
