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「……相川先輩」
フードの内側から、ぼそりと。
響くような、訴えるような声。
しかし、フードの内側は、もう、深い洞などではない。泣きそうな顔などではない。泣きそうじゃなくて＿＿泣いている。はっきりと私の眼には、涙目で泣き顔で泣き笑いの、一人の男の子が映っている。
俺は、と、しゃくりあげながら。
彼は、彼の想いを口にする。
「俺は、相川先輩が、好きや」
彼は、彼の願いを口にする。
「そう。僕はそれほど好きじゃないよ」
いつも通りの口調で、直截的に、思ったまま。
相川は平坦にそう言った。
「それでも、そばにいてくれるのかな」
いっぱい待たせて、ごめんね。
とても平坦に、そう言った。
……愚かしい。
愚かしいこと、この上ない。
全く＿＿かませ犬もいいところだった。
我ながら、そしていつもながら、あつらえたような三枚目を演じたものである。見事なくらい、何の役にも立ってない。
ごめんなさいが言える、素直な子。
相川真冬が、どれだけ強欲な男なのかということくらい、私はとっくに知っていたはずなのに。相川真冬が、どれだけ諦めの悪い男なのかということくらい、私はとっくに知っていたはずなのに。
それが本当に大事なものだったなら。
相川が、諦めるわけがないのに。
大きなお世話、余計なお節介。
ありがた迷惑。
しかし、まあ……それでも、なんというか、全くもってどいつもこいつも、本当に、ひねくれてるよなあ＿＿
実際、裏表のある奴ばかりだ。
表も裏も、メビウスの帯のように、表裏一体。
ならば解釈は愛の力でも、別にいいや。
人から忘れられるっていうのは、結構凹むから。
私はそんなことを考えながら、とりあえず、腹に開けられた大きな穴がふさがるまでの間、目の前で展開される薔薇的な情景を、野暮な突っ込みを一つも入れることなく、ただただ、見守ることにした。
ここでもしも私が歌詞さんだったら、似合いもしない癖にニヒルを気取って、火のついていない煙草でもくわえ、二人に向けて、何かいいことでもあったかどうかとでも訊く場面なのだろうけれど、生憎私は、未成年だった。
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灰猫(プロフ) - りょくちゃさん» 毎回ありがとうございます！アレンジ部分はうまくできてるか毎回不安になるのでそう言ってもらえてうれしいです！早く続きをお見せできるよう頑張りますね！！ (2021年8月17日 18時) (
レス) id: 5303b97ef5 (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 毎回失礼します！し、まモンキーも最高でした、、毎回ながら原作に沿ってるけど灰猫さんのアレンジが本当に好きです。これからも灰猫さんのペースで更新がんばってください！！ (2021年8月15日 20時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2021年8月15日 19時
