第185話 エイリア石のくれたもの 3 ページ3
＊
彼らは依然としてキョトンとしたままで、病室には沈黙が流れる。
千鳥は今更冷や汗が出てきた。彼らにダークエンペラーズのときの思い出に苦しんでもらいたくなくて、この話をしたが、失敗だっただろうか。
「あ、あの！急によく知らない人が出てきて、出過ぎた真似をしました。すみませ…」
「ありがとう。」
慌てて弁明しようとした千鳥の言葉を風丸の声が遮った。千鳥がハッとして周囲を見回せば、皆優しい笑顔を浮かべている。
「ありがとう。千鳥。千鳥のおかげで自分を許してやれそうだ。」
「風丸先輩…はいっ！」
風丸だけではない。皆優しく微笑んで、頷いてくれた。
嬉しかったけれど、どうにも恥ずかしい。千鳥がえへへと笑っていると、染岡に「お前それだけ言いに来たのか？」と尋ねられた。
「あ、違います。これなんですけど…。」
千鳥は染岡の言葉に、ここに来たもう１つの目的を思い出した。持ってきた茶色の紙袋からあるものを取り出す。
「お見舞いの品です！」
「おーっ！それ、なんだ？」
ずい、と半田が身を乗り出した。
「スコーンですよ。甘さ控えめなので、甘いの苦手な人も美味しいと思います。それからこれ！」
千鳥はそう言って紙袋の中から小さな瓶を取り出した。
「ジャムです。」
「ジャム？」
風丸が首をかしげる。たしかに、お見舞いの品でジャムというのは珍しいかもしれない。
「手作りなんですよ。体に良い果物を探して、自分で作ってみました。自信作ですよ！両方とも日持ちするので、スコーンと一緒に食べてください！」
千鳥スコーンの入った小袋と、小瓶を一人一人に手渡していく。彼らはサンキュ、と笑ってそれらを受け取った。
＊
第186話 慈愛の瞳 1→←第185話 エイリア石のくれたもの 2
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いわき(プロフ) - 檸檬けーき。さん» 檸檬けーき。さん、コメントありがとうございます！とても嬉しいです！この小説はもう完結していますが、同じ主人公が出てくるアレス版の新作を書き始めましたので、良ければそちらもご覧ください(＊^^＊) (2019年10月18日 10時) (
レス) id: b59bbba1ca (このIDを非表示/違反報告)
檸檬けーき。(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます (2019年10月18日 5時) (レス) id: 31d6ef12c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いわき | 作成日時：2019年10月8日 0時
