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*side Shima
「ってこともあったな」
「あー、懐かしい…あの時の志麻くんってほんとおかしかったよね」
「それはAもやろ」
「言えてるかも」
Aと過ごす、6回目の誕生日。
俺は23、Aは24になった。
あん時は俺、高校生やったんやなぁ、とかしみじみ思い返してみるけど、流石に細かいところまでは思い出せん。
こんな未来があるって考えてたかも定かじゃないし、そもそもあの告白は半分ぶっつけというかやっつけというか、そんなんやったけど。
無事成功してそこからもう1ステップ進んだんやから文句なしでハッピーやと思う。
昨日、俺はAと市役所に1枚の紙を出してきた。
俺の字が汚いとか住所間違えたとかで2枚も書き直したけど、出来栄えはそこそこやった。
てか、婚姻届に出来栄えとかあるんかって話や。
…まぁ、喧嘩とかもなくこうやって結婚まで出来たんはめちゃくちゃすごいことやとは思う。
けど、もっとすごいと思ったんは高校生の俺の眼力やな。
あの一目惚れ?ていうか、電車で見ただけから始まった恋がこんなになるんやから、若い頃の感性は侮れんわ。
「志麻くん、起きてー」
「起きとる」
「電話。せんらって人からだよー」
はい、と受話器を渡すとさっさと観ていたドラマに戻ったA。
こういう塩っぽいところもまた面白いところの1つ。
やから飽きんのやろなぁ。
「もしもしー?」
「この幸せ者がぁ…許さんぞ」
「第一声それってやばいやろ」
「責任とって式には招待してくれや」
「おう、するする」
友達からはやれ早い結婚だのあの遊び人が…だの散々な言われようやけど。
まぁ、祝福されてるんやから悪い気はせん。
「ん。またなー」
「電話終わったー?」
「今終わった」
「じゃあ、どっか行こっか」
「寒いけど」
「誕生日でしょ?今日」
忘れんようになったやんか、と頭をわしゃわしゃ撫でると抵抗になってない抵抗をするA。
前の彼氏の誕生日は覚えられんかったんに、俺のは一回も忘れたことはないって、これやっぱ運命とかそんなんか?
夢じゃないこと願うしかないやつか?
「早く行くよー」
「待って!」
夢じゃないこと信じとこう。
そしたらきっと、何年先もこんな最高の誕生日が来るから。
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Elice(プロフ) - 歩美さん» コメントありがとうございます。このコラボをきっかけにいろいろな作者様の作品読んでいただければ幸いです。お読みいただきありがとうございました! (2018年12月1日 14時) (レス) id: 4534e70d0d (このIDを非表示/違反報告)
歩美(プロフ) - コラボお疲れ様でした!志麻さんお誕生日おめでとうございます。初めて読ませていただく作者様もおられたのですが、また新しい発見があり、とても面白かったです。 (2018年12月1日 13時) (レス) id: 91f91d2de7 (このIDを非表示/違反報告)
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