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「あ、俺、姉妹校のデザイナー学科に入ってる志麻っていうんですけど、その……、スカウトな来ました」
「え」
「もしかして、もう他の人から声掛けられてる……?」
タメ口と敬語の入り交じったその話口調から悪い人ではなさそうな人。
でも、勿体ない……。
デザイナーなんかよりもモデルの方が似合っていそうなのに……。
パチパチと二回瞬きをした後に、首を横に勢いよく振る。
そんな事思ったらダメ……!!自分でやりたい道をこの人は決めてるんだから、他の人が口出しするなんてやっちゃダメだ……!!一番その事を知ってるのになんでこんな事思っちゃったの!?もーーっ!消えてけ!!!
その行動は志麻くんから見れば嬉しいものだったようで、ぐっと距離を縮めて私の両手を包むように握りしめた。
「じゃあ、俺の服、着てくれる??」
「えっと……、どうして私なの?」
「どうして……。理由かぁ、……」
キラキラした瞳が下を向いてしまう。その仕草もかっこいい。業界でいくらでもイケメンに出会ってきたけれど、志麻くんはなんというか、私のどタイプだ。
「前見て歩く姿が綺麗だったから」
「…………」
「えっと…、こんだけじゃだめですか。選んだら」
……そんなことない。嬉しいに決まってるじゃん。なんて、素直には言えないからニコッと微笑み返す。心の中を読み取られないように。
「いえ。どんな服ですか?」
「大トリのウエディングです」
「……は?」
『大トリのウエディングです』ぅ!???なんで、それを私チョイスしたの!?つか、待ってよ。大トリって、ショーの大トリ!?
そのファッションショーには少しジンクスがあって、大トリになったモデルとデザイナーは将来一流になれると言われている。去年卒業した先輩たちもテレビに載り、雑誌に載りと大注目されているくらい影響があるジンクス。
それを私がしていいっていうの?
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憧葛 - こんばんは、憧葛です!作品を読ませていただきました。いやもう本当にどれも神作ばかりで……素敵なお話をありがとうございました!これからも頑張ってください! (2021年12月7日 18時) (レス) @page38 id: e0ae3127c5 (このIDを非表示/違反報告)
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