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なんて思ってるけれど、そもそもショーモデルに選ばれないんじゃ意味が無い。雑誌モデルだって確かに立派で特別な仕事だけど、やっぱり歩きたい。
歩けない馬鹿になりたくない。
でも、そんなチャンス降り注がない。
……何か、チャンスがあれば……いいのにな。
「ねぇ……!姉妹校のショーモデル頼まれちゃった!」
「え、すごいじゃん。確かあれだよね?学生デザイナーが自らが推薦するってやつ」
「そうなの〜。『luz』っていう超イケメンに推薦されちゃったの!すごない??」
もうそんな時期か……。
新年の初イベントとして発表されるそれ。ファッションの専門学校である姉妹校の生徒たちが毎年9月になるとモデルを選び出す。
雰囲気、イメージ、自分の作品を身に纏う最高のマネキンを選ぶこの時期は少し空気がピリピリしている。やっぱり人気のある子だと10くらい推薦が来て、その中でくじ引きで選ぶなんてことしてる子もいるみたいだ。
そんな経験ないけど。
……だから今視界の端で話していた女の子を見て嫉妬に駆られる。身長だけは高い。歩き方は上手いとは言わないのに。結局タッパと顔ね。学生デザイナーが選ぶショーモデルなんて。
嫉妬。妬み。どんなに足掻いたって手に入らないそれに酷く嫉妬しては、選ばれないのを周りのせいにしてる。でもいいじゃん。心の中でくらい。羨ましいんだもん。
はぁ……とため息をついてわざとその子たちの前を通って廊下へと出る。一瞬ちらっと見るくらいならなんか言えばいいのに。どうせ『チビには無縁の話ね』とか『無駄な才能ね』なんてこう嫌味ったらしく蔑まされるんだ。
同じ舞台に立ったら覚えときなさいよ……!
私の印象しかなくすることだって可能なんだからな、こっちは……!!!
「あの……、モデルのAさんですか?」
「……えっ。そうですけど、あなたは……?」
良かったとニコッと八重歯を見せたのはモデル学科では見たことない人だ。それに髪が染めたてなのか、シルバーがかった紫の髪が印象的。それにすごい美形。モデル学科ならひと目で分かるはずだけど……。
一体誰だろう?
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憧葛 - こんばんは、憧葛です!作品を読ませていただきました。いやもう本当にどれも神作ばかりで……素敵なお話をありがとうございました!これからも頑張ってください! (2021年12月7日 18時) (レス) @page38 id: e0ae3127c5 (このIDを非表示/違反報告)
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