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その翌日、まだ志麻様はお戻りではありませんでした。
お嬢様の朝のお支度を、と思いお部屋へ行くと、
扉を開けた私の前には驚きの光景が目に入ってきました。
「リリー...。」
「お嬢様??!」
なんとお嬢様が、ご自身の足で立っていらっしゃったのです。
いつも志麻様が押される車椅子に乗って移動されているお嬢様が立っている。
「随分、今日は調子が良いみたいなの。」
私も嬉しくなって、舞い上がってしまって、
お嬢様に駆け寄ってしまいました。
「お嬢様、この調子できっと良くなって、歩けるようにもすぐなりますわ!」
お嬢様も少し嬉しそうに微笑んでくださいました。
暫くお嬢様とお話をしながらお支度をして、
今日はお庭でピクニックでもいたしましょうという話になり、お嬢様もとても喜んでいらっしゃいました。
サンドウィッチにスコーン、屋敷のパティシエにお嬢様のことを伝えると、張り切ってお菓子を焼いてくれました。
それを持ってピクニックを楽しんでいると、
志麻様がお戻りになったようで、お庭までやってこられました。
「A?!」
「あぁ、志麻様!お嬢様がお立ちになられていたんです!なんて喜ばしいことでしょう!志麻様もぜひご覧になってください!」
志麻様もとても驚いたご様子でした。
目をいっぱいいっぱい見開いて、口元を押さえていらっしゃいました。
そのまま志麻様もピクニックにご参加されて、
その日はとても楽しい一日となりました。
お嬢様の笑顔をこんなに見られた日は、
今までにありませんでした。
でも志麻様は、どこか落ち着かないご様子でした。
何かに焦っていらっしゃるような。
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憧葛 - こんばんは、憧葛です!作品を読ませていただきました。いやもう本当にどれも神作ばかりで……素敵なお話をありがとうございました!これからも頑張ってください! (2021年12月7日 18時) (レス) @page38 id: e0ae3127c5 (このIDを非表示/違反報告)
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