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私とのお揃いが、嬉しい?
言った本人は照れてるのかボールペン回してるし、時々膝の上にあるマフラーを見て少しにやけてたり。ちょっとだけ調子がおかしい感じがする。
「………A」
「え、なに?」
「俺な、マフラーも嬉しいんやけど、それよりもお金では買えないもっと欲しいものがあってな?」
少しだけ目を泳がせたあと、ボールペンを床に置き、マフラーも膝から下ろして、私の両手を握った。予想してなかったことに少混乱していると、落ち着けとでも言うように手を握る力が少し強くなった。
「えと、志麻くん?あの、手、」
「ふふ、混乱してるところに追い討ち掛けるのも申し訳ないけど、俺の彼女になって欲しいって言ったら受け入れてくれる?」
「かの、じょ?私が?」
「そう、小さい頃から好きやったから、付き合ってくれたら嬉しいなって」
志麻くんが、私を、すき。
私も、志麻くんが、すき。
両想いであることを理解して、握られている手から全身に熱が回っていった。
「おーい、A?今の大分緊張したから少しは反応欲しいんやけど」
「………私だって志麻くんのこと好きだもん」
そう言った途端、手の温もりが消えて、目の前が真っ暗になった。額に伝わる鼓動と、背中に回された腕に抱き締められているのだと気づいた。
暫くそうしていると、優しく肩を捕まれて、ほんの少しだけ距離ができた。
「………ちゃんと言わなきゃ駄目やな」
「え、何を?」
「ん?俺と付き合ってくださいって」
「私で良ければ、喜んで」
大好きな人が彼氏になるって、今までで、一番嬉しいプレゼントかも。
「あ、私色違いのマフラー買ったよ」
「何それ可愛いかよ」
「えっ」
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憧葛 - こんばんは、憧葛です!作品を読ませていただきました。いやもう本当にどれも神作ばかりで……素敵なお話をありがとうございました!これからも頑張ってください! (2021年12月7日 18時) (レス) @page38 id: e0ae3127c5 (このIDを非表示/違反報告)
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