１７７馬鹿 誰もヒロイン役とは言っていない ページ27
「なぁ、鉢屋から見て私の演技はどこが駄目だった?」
「え?……特に悪い所はないと思うが、しいていえば少しわざとらしいな」
「ほうほう……芝居じゃあそうそう大げさの方が映えるからその癖が抜けてないんだな……他には何かないか?」
私は懐から出したメモ帳を取り出して鉢屋の言う事をメモメモする。
鉢屋はそんな私を見て、私が書き終わるのを見計らって言葉を紡いだ。
コイツ、細かいところまで見てんなぁ〜。
「後はそうだなぁ。所々演技に穴があいてるように見えたな」
「そうか。それはまぁ、何年かブランクがあるからな〜」
私はメモ帳を片手に頭をガリガリ掻く。
演劇やめてから一度もやってなかったからなぁ。そこは反省しなければいけないな。
メモを書き終わって鉢屋を見ると鉢屋は「それぐらいだな」と言ったので私はメモ帳を懐にしまった。
「なぁ、お前がやっていた演劇とやらはどうだったんだ?役とそういうの」
「ん?私は役をやったり小道具作ったりと幅広くやってたんだよ」
「ふ〜ん、例えばどんな役やってたんだ?」
「例えば……ちょっと鉢屋、そこにしゃがめ」
そう指示すると鉢屋は渋々ながらもその場にしゃがんだ。
私はコホンッと咳ばらいを一つこぼして鉢屋を見下ろし、昔演じた役のセリフを口に出した。
「"さぁ、姫よ!今こそその狭き鳥籠より共に羽ばたきましょう!大丈夫ﾀﾋが二人を分かつその時まで貴方と共にあることを神に、貴方に誓いましょう"」
私はいつもより数段低い声で言葉を紡ぎながら動きを付けて鉢屋の前にしゃがみ込む。
そして鉢屋の手をソッと取りその手の甲に優しくキスを落とす。
勿論キスは寸止めだ。
ちなみにこのセリフが高校最後の文化祭で演じた主人公の王子様役のセリフの一文である。
「……どうだ!私のこの演技……は…?」
目線が下がっていたのをパッと目線を上げ鉢屋の顔を見ると言葉が途切れ途切れになってしまった。
何故そうなったのかと言うと目線を上げた時に見た鉢屋の顔が今までに見たことがないぐらいに真っ赤になっていたからだ。
「〜〜〜ばっ馬っ鹿じゃねぇの!!!」
鉢屋はバッと私の手を振り払い先ほどの捨て台詞を吐いてその場を脱兎のごとくその場を離れた。
その場には私だけが残った。
「……なんっつぅ顔してんだよ」
そんな事を思いながらも心の片隅で"可愛い"と思ってしまったことは私だけの胸の内に留めておくことにしよう。
そう結論づけて私もその場をいそいそと離れて行った。
１７８馬鹿 その後の鉢屋三郎と決意→←１７６馬鹿 私の演技力を見よ!
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長月シキカ(プロフ) - MIZUKIさん» 人それぞれ自分が書きやすい書き方というのがあると思います。何より自分が楽しく書くのが一番だと私は思いますよ。 (2016年5月18日 12時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
MIZUKI(プロフ) - 俺、てきとーに考えて、最後どのように終わるなんて考えないで書いてる。そして書いてる最中に思い出すと、それを書いてる…………‥…‥って読みにくいよね。俺、話や書き方？が自分でもよくわからなくなることがあるのだ。 (2016年5月18日 12時) (レス) id: 92a53b009f (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - MIZUKIさん» そうですね、この作品を書き始めた頃ぐらいですかね 私は書く前にどういう終わり方にするか考えてから書くようにしているんです (2016年5月18日 8時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
MIZUKI(プロフ) - 結構前からってドのくらい前よ（￣△￣；）俺は、頭に浮かんだら、それを書く。的な感じでやってるよ。 (2016年5月18日 8時) (レス) id: 92a53b009f (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - MIZUKIさん» コメントありがとうございます この話は結構前から組み立てていたので早く書くことが出来ました。もう少し続きますのでどうぞ見ていってください (2016年5月17日 22時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年5月3日 1時
