175話 ページ25
ガラルから戻り早数週間が経った。
いつものようにデスクに向かい仕事をしていた私の元に、クラウド先輩がやって来た。
彼の方へ顔を向けると、手には一枚の紙を持っている。
「A、この書類のここ違うんやないか?」
「え? ……あ、本当だ。すみませんすぐに訂正します」
「あぁ頼むわ。にしても珍しいな、お前がこないなミスするなんて」
「……申し訳ありません、クラウド先輩」
そう言い書類を返してくるクラウド先輩に、私は頭を下げて書類を受け取った。
最近の私はどうも調子が悪い、体ではなく主に仕事の方でだ。
書類のケアレスミスにコピーの部数ミス等々、小さなミスを連発してしまっている。
まぁ、まだ致命的なミスをしていないことは不幸中の幸いといえるか。
今手渡された書類の中にあるしょうもないミスに、私は小さくため息をついた。
普段の私なら絶対にしないであろうミスに、自分が情けなくて仕方がなく思う。
この不調の原因は、自分で分かっている。
原因は、私の過去のことだ。
ガラルに足を踏み入れた時から、じわじわと蝕んでいくトラウマがイッシュに戻ってもなお私を蝕み続けている。
周りの仕事仲間が昔の幻影と重なって見えたり、仕事仲間の声が昔投げつけられた罵声と被って聞こえたりと、それらは私を疲弊させていくのだ。
やはり、いくら叔父さんの誘いとはいえガラルに行くべきではなかったか、とひとさじの後悔を覚える。
はぁと再度ため息をつき、自分の情けなさに辟易する。
そして、書類のミスを訂正する為にいつも使っている気に入りのペンへと手を伸ばした。
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長月シキカ(プロフ) - ミサさん» コメントありがとうございます!! レスが遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。多くの作品から当作品を見つけていただけただけでも嬉しいのに、このようなコメントまでいただけて涙が出るほどに嬉しく思います^^ こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2022年3月29日 21時) (
レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ - 完結されて日にちが経ちますが、最近見つけたこの作品を読み出してとても面白くページを読み進める手が止まりませんでした。とても良い作品に出会えて嬉しいです。ありがとうございます。 (2022年3月25日 17時) (レス) id: 068b87fb6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年10月24日 22時
