167話 ページ17
どうしたものかと思っているうちに、眠っていたマリィさんの体がもぞりと動きだした。
寝ぼけまなこを擦り、くぁとあくびをした彼女の目と私の目がかちりと交じり合う。
「ッ!? Aさんっ!」
「おはようございます。マリィさん」
私が起きていることに驚いたのか、はたまたあくびを見られたことが恥ずかしかったのか、マリィさんは可愛らしい顔を真っ赤にしていた。
その姿に可愛らしいなと思いつつ朝の挨拶をすると、マリィさんは自分の髪を触りながら朝の挨拶を返してくれた。
「マリィさん。ベッドを占領してしまったようで、大変申し訳ありませんでした。体、痛めてませんか?」
「あたしは大丈夫……ってあたしよりAさんこそ、大丈夫なの?」
「私、ですか?」
心配そうな表情で私を見るマリィさんのその様子に、私は首を傾げた。
昨日は確か、マリィさんとネズさんと飲んでいて途中カブ叔父さんとキバナさんが来て、それから……。
「……Aさん、倒れたんだよ。覚えてない?」
マリィさんのその言葉で、私は昨日の事を鮮明に思い出す。
そうだ。あの後過呼吸を起こしたんだった。
「そうでした。これは、とんだご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「Aさん……あたしもアニキも迷惑だなんて思っていないとよ」
そう言いながらマリィさんは、投げ出されたままの私の手を握ってきた。
私よりもずっと年が下であるはずの彼女に気を遣わせてしまったことに、幾ばくかの申し訳なさが心を埋め尽くす。
その時の彼女はどこか悲しそうな目をしているように見えたが、それを言及する勇気のない私は静かに口角を上げた。
それから、マリィさんのご厚意でシャワーを借りた私は持ってきていた鞄に入れていた着替えに袖を通す。
着替え終えた私がシャワー室を出ると、ちょうど呼びに来たであろうマリィさんと鉢合わせた。
「これから朝ご飯にするけど、良かったらAさんも一緒にどう?」
シャワーを借りたらすぐにでもお暇しようと思ってた矢先のマリィさんの申し出に、私は両の手の平を勢いよく振りながら口を開く。
「え、そんな、申し訳ないです。一晩ベッドをお借りした上シャワーまでお借りしたのに朝食なんて……」
これ以上お世話になるわけにはいかないと、その意思を込め伝えるがマリィさんは頑として譲らず結局折れたのは私だった。
マリィさんって、意外にも頑固なんだな。
そう思いながら、私は彼女の小さな背中を追うのだった。
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長月シキカ(プロフ) - ミサさん» コメントありがとうございます!! レスが遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。多くの作品から当作品を見つけていただけただけでも嬉しいのに、このようなコメントまでいただけて涙が出るほどに嬉しく思います^^ こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2022年3月29日 21時) (
レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ - 完結されて日にちが経ちますが、最近見つけたこの作品を読み出してとても面白くページを読み進める手が止まりませんでした。とても良い作品に出会えて嬉しいです。ありがとうございます。 (2022年3月25日 17時) (レス) id: 068b87fb6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年10月24日 22時
