165話 ページ15
場所は変わり、ネズとマリィの家。
ネズの手持ちであるカラマネロの力で宙に浮いたAを自分のベッドに寝かせたマリィはふぅと息をついた。
「ありがと、カラマネロ。ゆっくり休んで」
そう言いマリィはネズから受け取っていたカラマネロのモンスターボールから光線を出すと、自分のトレーナーではないがそのトレーナーが大事に想ってるマリィの言うことを素直に聞くカラマネロは、大人しくボールへと入っていった。
「Aさん大丈夫なんかな」
見慣れたベッドの上で静かに横たわるAの姿を見ながら、マリィは静かにそう呟いた。
微かに上下するAのお腹を見て、マリィは少しだけ安心する。
「……おやすみなさい、Aさん」
穏やかに寝息を立てるAを起こさぬよう、マリィは自分の部屋から静かに退室した。
＊
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ふと目を開けると、目の前は真っ暗だった。
ここはどこだと辺りを見渡すが、右を見ても左を見ても上を見ても下を見ても、そこには暗闇の空間がどこまでも続いている。
とりあえず声を出そうと口を開けるが、何故か声は出ずハクハクと空気が抜け出るだけだった。
この状況に私は、少なくとも今この瞬間は現実ではないなと察した。
地に足のつかない不安定な感覚にどうすることも出来ず、ただただその身をゆだねていると目の前にフヨフヨとシャボン玉みたいなのが漂ってくる。
シャボン玉なんて見たのいつぶりだろうか、なんてこと思っているとその玉がパチンと弾けた。
「……ッ」
弾けた後に映し出された光景に、私は思わず息を呑み目を見開いた。
呆然とする私をよそに、目の前の光景は無慈悲にも再生される。
母と買い物をする幼い私を見知らぬ青年たちがチラチラ見やる。
青年たちはこそこそと聞こえるように話し出した。
"おい、見ろよ。あのガキ雑誌に載ってた"
"あぁ。あのカブの身内なのにバトルが下手くそなんだろう"
鮮明に覚えている光景に、私の体は無意識に震えだす。
見たくない、聞きたくない。
目と耳を塞ぎたいのに、体はまったく動かない。
胃液がせりあがり気分が悪くなる間にも、光景は続いていく。
"そうそう。まったくよく恥ずかしくねぇよな。俺ならとてもじゃねぇが恥ずかしくて外出れねぇよ"
"言えてる! 神経図太すぎ〜……てか、カブも可哀そうだよな。あんなのが身内だなんて"
"確かに。俺だったら嫌いだわ。カブも嫌いなんじゃね?"
青年の一人がそう言うと、もう一人は"それな"と同意する。
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長月シキカ(プロフ) - ミサさん» コメントありがとうございます!! レスが遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。多くの作品から当作品を見つけていただけただけでも嬉しいのに、このようなコメントまでいただけて涙が出るほどに嬉しく思います^^ こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2022年3月29日 21時) (
レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ - 完結されて日にちが経ちますが、最近見つけたこの作品を読み出してとても面白くページを読み進める手が止まりませんでした。とても良い作品に出会えて嬉しいです。ありがとうございます。 (2022年3月25日 17時) (レス) id: 068b87fb6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年10月24日 22時
