129話 ページ29
そんな私達にいつの間にかやって来たシンゲンさんが、呆れた様子で話しかける。
「深夜テンションナンテ言ッテル場合ジャアリマセンヨ。灰ボス」
「シンゲンさん。良く分かりましたね。貴方エスパータイプでしたっけ?」
心の中で思っていることをズバリ言い当てたシンゲンさんに、私は思わずそう言うと彼は大きなため息をついた。
「何言ッテルンデスカ、灰ボス。全部口ニ出テマシタヨ。トニカク、オ互イ働キスギデス。オ三方ハ少シ休ムベキデス」
「シンゲン……ですが」
「ううんノボリ。シンゲンの言う通り、僕たち、少し休んだ方が良い。ノボリもAもすっごいクマ。多分、僕もすっごいクマ、出来てる」
「確かに……そのような顔では、お客様に対して失礼かもしれませんね。しかし、我々が全員休んでしまうと」
「なら交代で休んだらいいよ」
クダリのナイスな案に、私とノボリは「なるほど」と同じ言葉を同じタイミングでこぼした。
疲れすぎてこんな簡単な事に気付けなかったとは、恥ずかしい限りである。
「何はともあれ、色々と調節しないといけませんね」
「まずは、トレインとホームの修理依頼からですね。私はこれから連絡を入れてきますので、一度失礼します。黒ボス、白ボス。ここをお願いしても?」
「えぇ、ここは私達に」
「任せてっ!」
「シンゲンさんはボスたちと共に作業にあたってください」
「ワカリマシタッ」
彼らに軽く頭を下げて、私はホームを後にし執務室へと足を向けた。
執務室に戻り、私はすぐさま業者へと連絡をつける。
業者によると、程度にもよるが一か月もあれば修理できるとのことらしい。
詳しいことは明日来てみるとのことで話がつき、私は電話を切った。
そして、腕に着けたライブキャスターを使ってノボリに連絡をつける。
「"はい、こちらノボリ"」
「"こちらAです。黒ボス、業者と連絡がつきました。業者の到着は明日の午前中になるそうです。程度にもよるそうですが、業者は一か月もあれば完全に修理できるとのことです"」
「"了解です。では明日は私が対応いたしましょう。私の管轄ですから"」
「"……分かりました。では明日、よろしくお願いします"」
私が業者の担当をしようと思ってたが、ノボリに先手を打たれてしまった。
ノボリ達ばかりに負担をかけるわけにはいかないと思っていたが、こうなっては仕方がない。
私はライブキャスターの電源を切り、まだ残っている仕事へと戻るのだった。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年9月18日 21時
