125話 ページ25
あれから数日が経ち、今日も今日とて私は仕事に忙殺されていた。
次から次へと舞い込んでくる仕事をさばいていくが、手が休まる時がない。
「灰ボス。少シ休マレテハ?」
「あぁ、シンゲンさん。私なら大丈夫ですよ。それより、貴方の方こそ少し仮眠を取られては? もう二日は帰っていないでしょう?」
「デ、デスガ灰ボスハ、モウ三日デスヨ。灰ボスコソ休ムベキデス」
シンゲンさんの言葉に耳を傾けつつ、私は作業する手を休めることなく次の書類へと手を伸ばす。
そんな私に彼は、言葉を続ける。
「灰ボス。コレ以上働クト体二毒デス」
「それを言うなら、うちのボスたちこそ体に悪い働き方してますよ。あの二人、今何連勤で何徹目です?」
「ジ、十連勤ノ五徹目デス。確カ」
「やっぱり……まったくあの二人は、ワーカーホリックにも程がある」
書類に走らせていたペンを置き、手で目元を覆う。
電車好きでさらにはバトル好きの二人だ、ぶっ倒れるまで働き続けることだろう。
「ソレハ、灰ボスモ同ジデス。灰ボスモ立派ナ、ワーカーホリックデス」
「んぐっ」
シンゲンさんの鋭い言葉に、私の口から思わず変な声がこぼれだす。
今思えば、確かに今の私もノボリやクダリと同じで、どこからどう見ても仕事中毒者だ。
「しかし、だからといって簡単に休めるわけではありませんし……それに最近ではプラズマ団とやらが、なにやら騒がしいようで警戒を劣るわけにはいきません」
「デスガ……」
「た、大変だぁ! ホームで騒ぎがっ!」
執務室に駆け込んできた青年の鉄道員であるラムセスさんが慌てた様子で声を張り上げ、シンゲンさんの言葉を遮った。
ラムセスさんの言葉に、私は痛み始めた頭を掻く。
たまにいるのだ。
バトルに勝つことで得られる景品と交換できるバトルポイントを無理やりに奪おうとする者、
サブウェイマスターに勝つことが出来ず、八つ当たりをする者。
理由はそれぞれだが、トレインのホームで暴れる阿呆な奴が。
私は大きくため息をつき椅子から立ち上がり、オロオロするラムセスさんに近寄る。
後ろからシンゲンさんの声が聞こえるが、しょうがない。
「ラムセスさん、被害の状況は?」
「あ、灰ボス! 今は黒ボスとダブルトレインから下車した白ボスがなんとか対応してますが、相手もいつポケモンを出してもおかしくありません!」
どうしましょう? と指示を仰ぐラムセスさんに私は少し考えてから言葉をかけた。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2021年9月18日 21時
