【ｐｋｍｎ】バトルジャンキーとバトル嫌い=第三部= (ページ2)

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102話ページ2

いち鉄道員である私もそう呼ぶべきなのだが、クダリとノボリはどうもそれがお気に召さないらしい。
私には普通に名前で呼んでほしいクダリたちと、ギアステーションのボスである二人にそんなことは出来ないという私で押し問答を繰り返した結果、二人の前だけ名前で呼ぶことでやっと落ち着いたのだ。

「今日もたっくさんバトルが出来るといいなぁ」

「ダブルトレインを開設して数年、年々乗車率が上がっていますからね。きっとブラボーなバトルが出来ますよ。きっと」

うきうきとした気分のクダリに、ノボリがいつもの表情でそう答えた。

少し前ではダブルバトルというのは結構マイナーなバトルであったのだが、ダブルトレインは運行し始めてから、徐々にダブルバトルが知られるようになった。

ガラルの方でも、あるジムではダブルバトルを採用しているとカブ叔父さんから聞いたことがある。
ガラル地方とイッシュ地方は、近すぎず遠すぎずな位置にあるためかガラルの情報がイッシュに入ってくるのだが、ダブルバトルが流行ってきたのもその影響も少なからずあるかもしれない。

「バトルも良いですが、必要書類もちゃんと片付けるんですよ」

「分かってるけど……書類を見ると眠くなる」

口元に弧を描いたままケロっとそう言うクダリに、私は相変わらずだなぁと思いながら廊下を歩いていく。
バトルでは生き生きとするクダリであるが、書類業務となるとすぐに集中力を切らしてポケモンの世話に逃げるのは、このギアステーション内では誰でも知っている有名な話である。

「だからって、ノボリに全部投げてはいけませんよ」

「んー……頑張る」

私の言葉にクダリは、自分の顎に人差し指の先を当てながら顔を少し上にあげつつそう答える。
少々不安が残るが、本人が頑張るというのならそれを信じるとするか。

「それにしても、こうしてAと話すのも少し久しぶりな気がしますね」

「そうですね。私も今年入ってきた新人の教育がありますし、ノボリとクダリもバトル業務で忙しいですから……そういえば同期のあの人、今月一杯で退職するらしいですよ」

「そうなんだ。これで、同期なの僕たちだけになったね」

クダリの吐き出した言葉に、私はため息をつきたくなる気持ちに駆られる。
バトルトレインが運航するようになり、今までの倍以上忙しくなったため、それに耐えきれなくなった社員が次々と退職していくのだ。