259標的 攻撃の段 ページ9
路地に入った瞬間、今まで私と守一郎兄さんがいた場所に相手の攻撃がヒットする。
「仙蔵兄さん、この辺りは?」
「だいぶ離れている。ここなら多少暴れても味方に被害が及ぶことはまずないだろう」
「了解。じゃあ皆攻撃を開始しよう。……憑依!」
私がそう言うと、兄さん達の体が光を帯び徐々に球体になっていき、その十六の球体は私の身体の中に入っていく。
全ての光の球体が身体の中に入り終わると、ドクンッと身体がはねる。
徐々に熱を帯びグラグラする視界に気が遠くなるのを何とか耐えた私は、上がった息を整える為深呼吸を数回する。
そして、息を整えると私は地面を蹴った。
その頃、観覧席では……。
カメラから流れる映像を見ていた非戦闘員たちは、皆驚きの声をあげていた。
映像には、額に二本の角を生やし背中に黒く大きな翼を羽ばたかせ浮遊するAの姿が映されている。
「あ、秋月殿が……飛んでいる?」
「極限になんだ! あの黒い羽は!?」
「Aの奴、この短期間で"憑依"を習得したのか」
「ディーノ、"憑依"とはなんだ?」
「あ、リボーンはAの修業を見てねぇのか?」
「あぁ、Aが頑として修業を見るのを拒んだからな」
そう言いリボーンはボルサリーノを下げた。
そんな様子のリボーンにディーノは「そうか」と言い、言葉を続けた。
「この時代のAは自分が使役している妖怪たちを自分の体に憑依させ、妖怪の力を最大限に引き出すことができた。そして、妖怪の力に耐えられるよう、身体の細部の形状が変化するんだ」
「そうか。それでAの額に二本の角があるんだな。それに炎のない機動力の意味も分かったぞ」
「だが……まだ幼いあの身体で耐えられるのか」
そう呟いたディーノの言葉が部屋に小さく響いた。
京子達も、自分の友達の無事を祈りながら映像を見つめる。
そして、Aは行動を開始する。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年6月4日 0時