256標的 月の守護者の秘密の段 ページ6
「それにしても、Aちゃんって本当に可哀想な子だよね。自分には全く関係のない綱吉クンなんかを助けるためにしなくてもいい戦いをしなきゃいけないなんてね〜」
「えっ? ど、どういうこと……?」
「ボンゴレにだけ存在する月の守護者、月の波動、月のリングなんてものは本来この世にはないものなんだよ。勿論僕の欲しいトゥリニセッテにも入ってない、かんっぜんなイレギュラーなんだよ♪」
そういう白蘭さんの言葉を聞いて、皆の視線が私に真っ直ぐ注がれ突き刺さる。
チラリと、周りを見るとあのリボーン君でさえ知らなかったようで私に、どういうことだと言わんばかりの目を向けてくる。
そんな視線の中、一人だけ「そうか」と口を開いた。
「だから、秋月さんのボンゴレ匣だけ作ることが出来なかったのか」
「アハハッ! どうAちゃん。今まで自分の居場所だと思っていたのが、何の意味もなかったことを知った今の気持ちはどうかな?」
声に出して笑う白蘭さんに、私は一つ息をこぼして真っ直ぐに彼を見据えながら言葉を紡ぎだした。
「知ってましたよ。そんな事」
「! ……ふ〜ん、知ってもなお、自分に関係のない戦いに参加するの」
「沢田君は、こんな私を必要だと言ってくれた。その一言をくれた沢田君に私は最後までついていく。そこに関係があろうとなかろうと、私という存在を必要としてくれるのなら、私は喜んでこの力を使う!」
「A……」
そうハッキリと言うと白蘭さんはにこやかだった表情を一瞬だけ変えた。
そんな白蘭さんに、私は言葉を続ける。
「それに、白蘭さんは一つ間違いを言っています」
「間違い……?」
「貴方は月の守護者なんてのは意味のないものだと言いましたが、少なくとも初代ボンゴレのボスはそれに意味を見出していた」
「そんなこと、なんで君が断言できるわけ?」
「それは、私の魂に刻まれた記憶が教えてくれましたからね。初代月の守護者がどうして作られたのか、初代月の守護者の役割……そして、初代月の守護者の最期も、ね」
私の言葉に訳が分からないと言いたげな表情を浮かべる皆に、私は全ての事を話そうと思ったが入江さんの事や、京子ちゃん達にタヒについて話すのもどうかと思い私は一つ息を吐いて白蘭さんを見据えた。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年6月4日 0時