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285標的 巨人の能力の段 ページ35

しかし、ベルフェゴールさんが投げたナイフはゴーストの身体に突き刺さることは無くするりとすり抜け地面に突き刺さる。
その次にレヴィさんが鋭い雷の炎を敵に浴びせるが、その炎をもすり抜けるだけだった。




バジルさんの提案で晴れ、嵐、雨の複合属性の合わせ技、"太炎嵐空牙"を敵に仕掛けるが獄寺君達の匣兵器がゴーストに接触した瞬間、様子が変わった。


激しい爆発音と爆風がおさまると、バシュッと何かがゴーストから弾き飛ばされる。
弾き飛ばされたのは先程、攻撃を仕掛けた獄寺君の匣アニマル、瓜ちゃんだった。


すぐさま駆け寄ろうとする獄寺君を、異変に気が付いた笹川先輩が止める。
私も、ゴーストの異変に気付いた。


ゴーストを纏うドーム状のような膜からいくつもの光線が四方に放出し始めた。
その光線は味方のブルーベルさんにくっつくと、凄い勢いで吸われているのかカラカラに干からびていく。


その光線の危険性を悟った私達は必死でその光線を避ける。
しかし、危ないのは光線だけではなかった。


「!! リングの炎が……」

「何もしてねーのにだだ漏れだぜ!! これじゃスタミナ全部持ってかれちまう!」

「リングをつけてちゃヤバイわ!! 匣兵器もダメ!! 炎が効かないのよ!!」


光線を避けながら叫ぶルッスーリアさんの声に周りを見ると、確かにリングをつけている人達からそれぞれの炎が灯りなびいている。
私はリングはつけているが、月の炎なんてものはこの世に存在しないため炎が灯っていない。


「このままでは全滅だ!! いったん引くか!!」

「ダメだ!! あのヤローはまっすぐユニの元へ向かってやがる!! くい止めねーと!!」


獄寺君の言う通り、ゴーストは真っ直ぐユニさんのいる方向へと歩みを進めている。
私は必死で、頭を働かせる。

「私にも、出来る事……ゴースト……幽霊……! もしかしたら!!」


ある考えを思いついた私は、ゴーストに向かって全速力で駆け出した。
駆け出すと後ろから獄寺君や兄さん達の声が聞こえてくる。


「おい! 何考えてんだ!!」

「極限に危険だぞ!」

「秋月殿!!」


私を呼びとめる声を無視し、光線を避けながらゴーストの正面で立ち止る。
そして空に素早く六芒星を描きながら、呪文を詠唱する。


「結界っ!!」


両手を前に突き出しながらそう言うと、私の周りに正方形の透明な壁が形成される。
その壁を押すように力を入れると、バチバチと音を立てながらゴーストの進行を妨害する。

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年6月4日 0時

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