284標的 沈む意識と新たな敵の段 ページ34
私はルッスーリアさんの活性の炎を浴びながら、心の中で兄さん達に語り掛ける。
「"兄さん達、大丈夫?"」
"あぁ……Aの方こそ大丈夫か?"
「"うん……ねぇ、兄さん達だけでも戦う事は出来ないのかな?"」
"……それは厳しい、真六弔花の奴らは、白蘭からの加護を受けているみたいでな。Aの体を借りなければ、奴らに触れることも出来ん"
「"じゃあ……私の体、使ってよ"」
"無茶をいうな。お前の身体はお前が思っている以上に傷ついている、そんな状態で憑依をしたら、お前の命が危ぶまれる"
「"……そうか"」
"お前は、今しばらく傷を癒せ。癪だが、ヴァリアーの奴らなら何とかしてくれるはずだ"
「"うん……そうだ、ね"」
そう心の中で呟いたところで、私は意識を手放した。
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激しい爆発音で深く沈んでいた意識がフッと浮上する。
まだ鈍痛が残る頭をさすりながら、周りを見る。
「おぉ気が付いたか秋月!」
「ケッ。いつまで寝てんだよ」
「何言っておるかタコヘッド。気絶したまま起きない秋月を誰よりも心配してたのはお前ではないか!」
「んなっ!? 嘘言ってんじゃねー芝生頭!!」
そう言い争う二人を見て、思わず顔が緩んでしまう。
がしかし、いまだに戦いは続いている。
あまりのんびりしている場合ではなさそうだ。
「今どういう状況?」
「さっきヴィンディチェの牢獄から出所した六道骸とその弟子が作った幻覚で真六弔花の戦闘データを取って、今戦闘が再開されたばかりだ」
「六道さんが?(そう言えばリング争奪戦の時、仙蔵兄さんの予知でそんなこと言ってたような)」
私は十年前のあの日を思い出しながらそう思った。
さすが、仙蔵兄さんの予知は外れない。
それからも戦いは激しさを増していき、私達も参戦しようと腰をあげた時目の前がバチバチと激しい閃光に包まれる。
その光と共に、巨人が姿を現した。
その姿はこの戦いのラスボス的存在である白蘭の姿に瓜二つだった。
しかし、その巨人は白蘭本人ではない。
目の下のアザが左右逆なのがその証拠だ。
ゆっくりとしたスピードで歩く巨人を見て、敵から"ゴースト"という言葉が聞こえてくる。
そのゴーストと呼ばれた巨人の指にはマーレリングがキラリと光っている。
やっぱり、この巨人が雷の真六弔花なのか?
それを知ったベルフェゴールさんが先手必勝と言いながら嵐の炎を纏ったナイフをゴーストに向かって投げつけた。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年6月4日 0時