２８３標的 思わぬ助っ人の段 ページ33
間に合わないかと思ったが、弓矢の側面から勢いよく炎が噴射されその勢いで獄寺君は敵に照準を合わすことが出来た。
そして、至近距離で大きな一撃をくらわせるとあたりに閃光と爆発音が響いた。
激しい爆風がおさまった頃、のそりと立ち上がったのは敵の方だ。
しかし、相手も無傷ではなく左腕が無くなっている。
すぐに目線で獄寺君を探すと、敵から少し離れたところで弓を構える彼の姿をとらえた。
もう一発を敵に浴びせようとした瞬間私はもう一つの気配に気づき、痛む身体に鞭を打ち獄寺君の元へと駆ける。
「獄寺君危ない!!」
彼の体に覆いかぶさった瞬間、近くに小さな爆発が連続で起こる。
敵の攻撃が着弾したのだろう。
一瞬だけ雨の炎が見えたが……まさかこのタイミングで……。
私の嫌な予感は的中し、空から女の子の声が聞こえてくる。
この声は確か、ブルーベルとか言う女の子の声だ。
何かごちゃごちゃ言っているが、今のこの状況は絶体絶命という言葉がピッタリの状況だ。
もう駄目だ、そう感じ目を閉じた瞬間と共に二人の敵の攻撃が繰り出される。
これで、終わりなのか……そう絶望しかけた瞬間、信じられないことが起こった。
大きな獣の咆哮が聞こえたかと思うと、自分の体が誰かの手によって抱えられたのか体が地面から離れていく。
一体何が起きたのかと目を開けると私を抱えている人物を見て、心底驚いた。
「がん首揃ってんじゃねーか……ドカス共」
「ざ、ザンザス!!」
「ザン、ザス……さん」
ここにいたボンゴレ側の人間を助けてくれたのは、あのザンザスさん達だった。
ていうか、今私ザンザスさんに横抱きされてる……!?
とても恥ずかしいが、今何かをする気力も言う気力もない。
「沢田に伝えろ。ボンゴレ九代目直属独立暗殺部隊ヴァリアーは、ボンゴレの旗の下、ボンゴレリングを所持する者共を援護する!!」
「ザンザスさん……ありがとう、ございます」
そう言うと、ザンザスさんは私を一瞥するとゆっくりと地面に下ろした。
私は、ふらつく足でルッスーリアさんの匣兵器で傷を癒している獄寺君達のほうへ合流する。
ルッスーリアさんの匣兵器のおかげで少しだけ気力が回復した私は、伊作兄さんに頼んで皆の傷を治してもらう。
それでも気力体力が低下している状態では、痛みを和らげる事しか出来ないがやらないよりマシだろう。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月4日 0時
