２８１標的 奇襲作戦の段 ページ31
私とユニさんの予知で敵が来るであろう場所に二手に分かれて奇襲をしかけることに決定した。
湖の地点に、笹川先輩、バジルさん、ランボ君、太猿さん、野猿さん。
森のある地点に、獄寺君、ラルさん、γさん、そして私が行くことになった。
夜が明ける少し前に、それぞれ地点に向かい準備をする。
背中を痛めている獄寺君を木に括り付け、敵が来るのを待つ。
「獄寺君、ラルさん。痛みはどう?」
「あぁ、今は痛くねぇよ」
「俺もだ……それに妙に体が軽く感じる」
「葛の葉の薬は良く効くからね……だけど、薬の効き目は時間の経過の他に二人の気力体力で効き目が左右する……二人の気力体力が低下する前になんとか仕留められれば……」
そう思いながら、私は敵が来るであろう方向を見つめる。
その瞬間、姿を隠し私の傍にいた仙蔵兄さんがあと数秒後に敵が来ることを予知した。
「皆さん! あと十秒後にザクロさんが来ます。迎撃の用意を!」
「てめーに言われなくても分かってるぜ!」
「なら良いよ! "憑依"」
私は兄さん達を自分の体に憑依させ、迎撃の準備をする。
雷蔵兄さんの力である雷を手の中に雷を溜める。
「三……二……一!!」
私の掛け声に続いて、ラルさんγさん獄寺君、そして私の攻撃が敵に向かって放たれる。
敵の呻き声が森に響き仕留めたかと思ったが、ザクロさんは胸に埋め込まれた匣に炎を注入した。
仕留めきれていなかったか。
「さて、どんな虫人間やら動物人間が出てくるんだ」
嵐のﾀﾋぬ気の炎に包まれるザクロさんに一歩近づく様に前に出ながらそういうγさんの声に、敵が答える。
「虫や動物だぁ? デイジーやトリカブトと同じにするな」
そう言い姿を現したザクロさんに私達は目を見開いて驚いた。
その姿は、修羅開匣前より一回り体が大きくなり、全身を真っ赤な皮膚で覆われており、まるで遠い昔に絶滅した恐竜そのものだった。
敵は飛躍的に上昇した戦闘能力であっという間にγさんとラルさんを倒してしまう。
「獄寺君は下がって!」
「なっ! 何言ってんだ!!」
「化け物の相手は化け物がすると相場が決まってるんだよ」
いまだに渋る獄寺君を庇うように私は前に躍り出る。
目を鋭くさせ相手を睨みつけると、相手は鼻を鳴らしながら私を嘲笑った。
「はっ! とんだ化け物に変化してんじゃねぇか秋月A」
「貴方に言われたくないですよ」
私は高速で敵の後ろに移動し殴り付けるが、私の拳はいとも簡単に防がれてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月4日 0時
