277標的 中からの急襲の段 ページ27
扉を閉めてこれからのことを話しあっていると、ユニさんとクロームちゃんの顔色がドンドン悪くなっているのに気が付いた。
「ユニさん、どこか気分でも?」
「いえ……何か、近くに」
「近く?」
今彼女の近くにいるのは私とリボーンさん、それにランボ君だ。
私は何も感じなかったが、私の傍にいた小平太兄さんが実体化しいきなりランボ君に向かって鎌を突きつけた。
急に現れた存在と凶器に、周りは悲鳴が上がる。
「な、何やってんだよ!」
「ランボちゃん!?」
「A、どういうつもりだ?」
「わ、私は何も……鎌鼬何をしてるの! 止めて!」
「悪いがこればっかりはAの言うことでも聞いてやれん! この牛の子は殺さねばならないんだ! 何故ならこいつは本物ではないのだからな!!」
そう言い鎌を振り上げた瞬間、泣きそうだったランボ君の顔が変わりニヤリとした笑みを見せたかと思うと身体からサアァと藍色の炎を出し始めた。
この色の炎は、霧の炎!?
そう認識した瞬間、私の身体は何かに抱えられるように浮く。
すぐに顔を上げると、私を脇に抱えていたのは真六弔花の一人のトリカブトさんだったのだ。
彼のもう片方の腕にはユニさんも抱きかかえられている。
別に深くは気にしていないが、何故に抱え方に変化があるんだ。
そんなどうでもいいことを思っているうちに、私とユニさんを抱えたトリカブトさんは勢いよく部屋の外に飛び出した。
空の上には桔梗さんとブルーベルさんもスタンバっていた。
「さぁここは我々に任せてユニ様とA様をお連れしなさい。トリカブト」
「沢田さん!! おじさま!!」
私は何とかして抜け出せないか体をよじるが強い力で抱えられている為、中々抜けられない。
そんな事をしている間に後の二人が沢田君達に向かって攻撃を仕掛けている。
「皆! 沢田君達を守って!!」
「A!!」
「とっ……烏天狗!? 沢田君達は」
「他の奴らが守ってる! てかてめぇ、汚ぇ手でAに触んじゃねぇよ!!!」
怒りに満ちた留三郎兄さんの攻撃が炸裂するが、トリカブトさんはそれを全て避ける。
まさか、白蘭さんは妖怪である兄さん達の攻撃もパラレルワールドで知っていたのか?
敵は留三郎兄さんの攻撃を避けながらドンドン上昇していく。
このままでは、私もユニさんも白蘭のもとに連れて行かれてしまう。
もう駄目だと思い諦めかけたその瞬間、トリカブトさんの体を何か黒いものが突き抜けたのだ。
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年6月4日 0時