２７４標的 敵の急襲の段 ページ24
「この警報は一体!?」
「わ、分からないよ!」
沢田君に聞いても、やはり分からないらしい。
まぁ、警報が鳴るってことは絶対に良い事ではない。
「うお゛ぉいっ! 何事だぁ!!」
「スクアーロ!」
異変に気が付いたスクアーロさんが大股で此方に向かってくる。
私達の傍に近づいた瞬間、スクアーロさんがいる場所より奥の壁が激しい音を立てて壊された。
アジトに侵入してきたのは、真六弔花の一人。ザクロという男だ。
「バーロー、みっけたぜ。ユニ様」
鋭い視線でユニさんを睨む敵の視線を遮るように、私はユニさんの前に立つ。
すると、ザクロさんは私を一睨みし口を開いた。
「白蘭様からてめーも生け捕りにするよう言われてんだ、秋月A」
そういいながら大きな欠伸をこぼす敵に、私はキッと睨んでやる。
敵の態度に、神経を逆なでされた獄寺君がリングに炎を灯しながら攻撃しようとするがそれをスクアーロさんが止める。
「てめーらじゃ役に立たねぇ。ユニをつれてさっさとここから去れ!!」
「えぇ!! 去れって……でも一人で!?」
そう言いスクアーロさんを止めようとする沢田君に、スクアーロさんは怒鳴った。
彼が言うには、ザクロさんは既に私達に見えないほどの炎で攻撃をしていたのだという。
スクアーロさんが雨の炎で相殺してくれていなかったら、私たちはあっという間に灰になっていたことだろう。
「俺も残るぜ、スクアーロ!」
「うぜぇ!! まだ俺のことが分かってねェーなぁ……! そろそろ一人でゆっくり静かにひっそり暴れてぇーんだぁ!!!」
「……いや、暴れるのにゆっくりも静かにもひっそりもないんじゃ」
「ハハハッ! スクアーロらしいぜ」
「サメは動き続けないとﾀﾋんじまうって言うしな」
「今それカンケーねーぞ」
リボーン君の鋭いツッコミに、少しだけショックを受けた獄寺君を慰めながらこの場はスクアーロさんに任せることで満場一致で決まった。
京子ちゃん達を先に行かせその後ろに続こうとしたが、ユニさんがその場を動いていない事に気が付き、私はすぐに彼女に駆け寄った。
「スクアーロさん! ありがとう!!」
「……さっさと行けェ」
大きな声でスクアーロさんに向かってお礼を言う彼女の姿勢に、私は感心した。
どんな時でも感謝の気持ちを忘れない、それが出来る子はそういないだろう。
「スクアーロさん、お気をつけて!」
「おぉ」
「さ、ユニさん」
「はい!」
私はユニさんの手を引き、アジトの出口へと急いだ。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月4日 0時
