２７２標的 驚きの助け人の段 ページ22
しかし、敵も私達が逃亡するのを指をくわえて見ている筈もなく攻撃を仕掛けてくる。
だが、その攻撃をスクアーロさんと獄寺君が止める。
自分の獲物を横取りされたのか、雲雀さんの表情がムッとしたように見えたことに関してはソッとしておこう。
下手に話しかけて、こっちに標的にされてはかなわないからだ。
敵の妨害をその三人に任して、私たちは急いで転送システムのある場所に向かう。
私達が転送システムがある場所についたところで、妨害行為をしていた三人が戻ってきた。
三人の無事な姿を見てホッと息をつくが、そのすぐ後ろから白蘭さんが物凄いスピードでこちらに向かってくる。
なんて、執念深い人なんだ……。
スクアーロさんの代わりに今度はディーノさんが時間稼ぎをしようと戦闘態勢に入る。
彼の覚悟は固く、必死で止める沢田君の言葉さえ彼を動かすことが出来ない。
「誰が相手だろうと、僕を止めることは出来ないよ!」
そういう白蘭さんを声が耳に届いた時、どこからか聞き覚えのある特徴的な笑い声が聞こえてきた。
「クフフフ……それはどうでしょうねぇ。僕に限って」
砂が落ちるようなサァァという音と共に、見たことのある姿が形成される。
多少髪が伸び大人びた印象を受ける、この時代の六道さんがそこにいた。
突然姿を現した六道さんに沢田君は目を大きく見開き驚愕する。
そんな沢田君の横で、クロームちゃんが六道さんに目を奪われたまま口を開いた。
「骸様の……有幻覚……」
「あ、あれが!?」
「お久しぶりです、沢田綱吉。……やはりﾀﾋんではいなかったみたいですねA」
幻覚で作り上げた巨大な火柱を白蘭にあびせながらそう言う六道さんに、私は若干どもりながらもうんと答えた。
私の様子に、満足したのか六道さんは楽し気に笑みをこぼす。
そして、私達に六道さんは"絶対に大空のアルコバレーノを白蘭に渡してはいけない"と告げると、早く転送システムに炎を入れるよう促す。
六道さんの促しに従った沢田君達はそれぞれのリングに炎を灯す。
すると、行きと同じように光が溢れ私たちは並盛町へと転送された。
空中で転送が終了した私達は、少し高い所から落とされた。
沢田君以外は何とかうまく着地できたが、沢田君だけは木の枝に引っかかっている。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月4日 0時
