２５３標的 ついに来たの段 ページ3
激しい轟音と共に煙が上がる北山を見て、私は恐怖と共に小さな怒りを覚えた。
そんな私の心などつゆ知らずの白蘭さんはまるで、子供のように笑っている。
「さぁ早く炎を搾りだしてごらんよ。約束の12時まで後少ししかないんだからさ。僕から照射される光がなくなったらタイムオーバーだからね」
そう言い終わると、今まで照射された光が早いスピードで狭まり始めた。
白蘭さんは、早く来いと急かすが沢田君はまだ全員揃っていないと言いリングに炎を灯さない。
しかし、そんな沢田君の言葉も言い訳としか聞こうとしない白蘭さんに私はなんとも歯痒い気持ちになった。
「きっと……きっと来てくれる」
「でもタイムオーバーだね」
「いいや来る!」
沢田君がそう断言した瞬間、森の中から青色の炎と紫の炎が飛び出した。
その二つの炎の発生者は言わずもがな、山本君と雲雀さんだ。
欠けていた二つの属性が揃い、沢田君は開匣する。
そんな彼にならい、次々とボンゴレ匣を開匣していくとたちまち辺りはまばゆい光に包まれた。
その光は上空に浮かぶメカに集められ、白蘭さんの顔の形をしていたのが消え巨大な機械が姿を現す。
私は、そんな機械には目もくれず沢田君達の姿に目を奪われていた。
すごく綺麗でいて、それでいて力強さを感じるその炎に私は目を離すことは出来なかった。
しかし、上空から聞こえてくる白蘭さんの声で今まで離れられなかった視線を機械へと戻す。
先程まで消えていた巨大な顔は再び形成されており、そこから大量のカードが空に羅列された。
そのカードから一枚引く様に指示された沢田君は一枚のカードを手に取る。
彼が引いたカードには雷のマークが描かれていて、それを確認した瞬間私の足が地面から離れ始めた。
焦った私は周りを見ると、他の皆の体も空に浮き始め光の方へ引き寄せられている。
まばゆい光で目の空けられなくなった私は思わず目を閉じた。
そして、凄い重力で下に引き寄せられ思わず尻餅をついてしまった。
「イッタタタ……み、みんな大丈夫!?」
沢田君がそう言うと、あちらこちらから大丈夫と言う声が上がる。
「A。怪我はないか?」
「大丈夫だよ鵺。他の皆は?」
「私たちは大丈夫だぞ! A!」
「そっか。良かった」
「しかし、本当に凄まじい炎を消費してんな。瓜が匣に戻っちまった」
獄寺君が匣を手にしながらそう言うと、他の皆も心配そうに自分の匣を見つめる。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月4日 0時
