２６５標的 必死の抵抗の段 ページ15
「何してやがるA! さっさとあの野郎を追いかけるぞ!」
「う、うん。でも」
「だい、じょうぶだよ。A……僕ならもう平気」
いまだに痛むのかタカ丸兄さんはそう言いながら、自分の腕をギュッと握りしめている。
しかし、火傷みたいになってはいるがジワジワと治癒していっているのを見て、私は決断した。
「分かった。行こう! 送り犬、獄寺君!」
「あぁ!」
「ワンッ!」
獄寺君はバイクに、私は狼化した守一郎兄さんの背中にまたがり敵を追いかける。
全速力で駆けると、キャタピラで走行しながら逃げる基地ユニットとそれを狙う桔梗さんの姿を捉えた。
「クソッ!」
獄寺君は、どこからか取り出した大量の爆弾を敵に向かって投げつけた。
空に放り出された爆弾は、方向を変え真っ直ぐ桔梗さんに向かっていく。
しかし、その爆弾で敵を仕留めることは出来なかった。
「恐ろしく原始的ですね……邪魔ですよ」
そう言い、敵は雲の炎を纏わせた矢のような物体を獄寺君に向かって放つ。
急な反撃に獄寺君は、その場を動くことが出来ない。
「獄寺君!!」
私は咄嗟に守一郎兄さんの背中から降りて、獄寺君を抱え込んでバイクから引きずり落とす。
なだれ込むように地面に倒れた瞬間、バイクに矢が当たったのかバイクがドオォン! と激しい音を響かせながら爆発した。
爆風を浴びながら、敵の冷ややかな声が耳に届く。
「いよいよメインディッシュです」
「! 基地がッ!!」
そう叫んだ瞬間ドオンっという衝撃音の後に、建物にぶつかったような音が私の耳に飛び込んできた。
おそらく、敵の攻撃が当たったのだろう。
「皆! すぐに基地ユニットに向かって!」
「あぁ!」
兄さん達はすぐさま基地ユニットがある方へ向かい、私は壊れたバイクが再び爆発しないよう獄寺君をバイクから離れて場所まで運ぶ。
運んでいる最中に、留三郎兄さん達が基地ユニットから脱出し走って逃げようとする入江さんに追いつき、肩をかしているのが目に入った。
「き、君たちは……?」
「Aの頼みだ。じゃなかったら人間をそれもボンゴレの人間なんか助けるか!」
「あ、ありがとう……」
肩をかしている留三郎兄さんの怒号が聞こえるが、とりあえず後で叱るとしよう。
このまま逃げ切れるかと思ったが、桔梗さんが投げた矢がまっすぐに両肩を抱えていた留三郎兄さんと八左ヱ門兄さんの足を、そして入江さんのお腹を貫いた。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月4日 0時
