２５１標的 決戦当日の段 ページ1
皆とおそろいの戦闘服を身に纏った私は、指定された並盛神社へと向かっていた。
兄さん達から、あの白い着物を着るようにも言われたがせっかく皆とおそろいの服を用意していくれたんだしそれを着たいというと、兄さんは妖術を使って白い着物を細い糸に加工し戦闘服に縫い込んでくれた。
兄さんいわく、この白い着物は前の前の私の呪いと兄さん達の妖力を込めた特別な着物らしい。
その呪いで、どんなに血などで汚れてもあっという間に消えるし悪霊などを寄せ付けさせないというのだ。
細い糸に加工してしまって大丈夫なのかと、兄さん達に聞くとこの戦いが終わればまた元の着物に戻すから心配ないと言われた。
兄さん達や京子ちゃん達の優しさが込められた戦闘服に優しく手を這わしながら、並盛神社の長い階段を上る。
神社の境内に足を踏み入れると、見覚えのない巨大な物体が目に入る。
その物体を見た獄寺君がすぐさまリングを構え攻撃態勢に入ろうとするが、それを入江さんは軽く笑いながら弁明する。
「ごめんごめん。言い忘れてたね。これは僕らの基地ユニットだよ。工事を装って今朝早めに運び出しておいたんだ。君たちのバイクも収納しておいたよ」
「バイク? この戦いでバイクなんて使うの?」
「そ、そういえばAに言ってなかった! でも今からじゃもう遅いし……どうしよう!」
頭をわしゃわしゃと掻き乱しながら沢田君は慌てる。
そんな沢田君にリボーン君が「うるせぇぞ」と銃を向けた。
「大丈夫だよ沢田君」
「で、でも今回の戦いは炎を感知されない機動力が必要で」
「大丈夫。バイクじゃないけど炎を出さない機動力は私にもあるから」
そう言って笑って見せるが、沢田君は意味が分からないようで首を傾げる。
そんな会話をしていると、基地ユニットを見ていた獄寺君が入江さんの方を睨みながら口を開いた。
「何かさえねー感じだな。中を開いたらポンコツってことはねーだろーな」
「出来ることはやったよ!!」
そんな二人の会話を聞いていると、辺りを見渡していた沢田君が今この場に来ていない山本君と雲雀さんの名前を叫んだ。
しかし、沢田君の声に応える気配はなく沢田君の声は虚しく木霊する。
しーんとするこの状況に幾ばくかの焦りが皆の表情に現れる。
二人に限って修業が失敗したなんて思えないけど……大丈夫なのだろうか。
そんな心配をしていると、スパナさんがパソコンを見ながら口を開いた。
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年6月4日 0時
