191標的 こんな時に喧嘩なんての段 ページ41
雲雀さんの手当てを手早く済ませた私は駆け足で、ある場所に向かっていた。
彼の手当てが早く済んだのは、約90%伊作兄さんのおかげである。
伊作兄さんに手当てされている間、雲雀さんの体が若干強張ったように感じたが、彼の名誉のため黙っておくことにしよう。
そんな事を思い返しながら今私は、ベルフェゴールさんをつけていた兄さん達からの連絡を受け体育館に向かっている。
兄さん達によれば、クロームちゃんはベルフェゴールさんとマーモンさんに拘束されているらしい。
早く助けなきゃ。
その一心で遅くなる足に鞭打ち走り、ようやっとたどり着いた頃私の息は軽く上がっていた。
私は上がっていた息を軽く整え体育館の出入口として使用されている扉に手をかけたが、その扉が開くことはなかった。
「あれ? 開かない……鍵がかかっているわけではないけど」
"……おそらく、マーモンとやらの仕業だろう。お前達、この体育館を調べ比較的壊れやすい場所を特定しろ。計算が必要ならしてやる……文次郎がな"
"俺かよッ!?"
「出来れば中にいる人が怪我しないってことも考慮してくれればありがたいんだけど」
"……承知した"
そう言い、兄さん達は散り散りになり体育館を調べ始めた。
他の兄さん達が集めた情報や数値を文次郎兄さんは素早く算盤を弾き、正確な数値をはじき出す。
こんな人間離れしたことをたやすくやってのける兄さん達を見て、一人では何もできない自分に歯痒さを覚えた。
結局、私は兄さんに助けられてばかりだ。
"A、分かったぞ! ……どうした?"
「! ごめん、何でもないよ。それより何処なの?」
"あ、あぁ。こっちだ"
文次郎兄さんの案内により、私は兄さん達が見つけ出した体育館の弱いところまで移動した。
「ここ?」
"あぁ、この一点に渾身の一撃をくらわせればいい。文次郎の計算が合っていればな"
"なんだとッ! 留三郎、それは一体どういう意味だ!!"
"言葉通りだよ! ヴァーカッ!!"
「ち、ちょっと二人とも」
やめてよ、と言いかけた次の瞬間二人の頭にとてつもない速さでゲンコツが降った。
こんな時に喧嘩をおっぱじめようとした二人にゲンコツの雨を降らせたのは言わずもがな、仙蔵兄さんと伊作兄さんだった。
二人の恐ろしいオーラに当てられたのか大人しくなった二人を軽くなだめ、私は他の兄さん達に指示を出そうとしたが、意外な人物がそれを遮った。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます!ここの所更新が思うように進まず申し訳ありません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします_(._.)_ (2017年4月16日 22時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年4月15日 21時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - かえさん» コメントありがとうございます! かえ様のお言葉大変嬉しく思います! これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いしますm(._.)m (2017年2月26日 23時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
かえ - とっても面白いです!更新楽しみにしています。 (2017年2月26日 23時) (レス) id: ad74bb0de7 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! 誰オチエンドにするか、また別のエンドにするかいまだに悩んでいるので今の段階で誰オチと言う事が出来ません。こんな作品でも最後まで見て頂ければ心から嬉しく思います。本当に申し訳ありません。 (2017年2月17日 23時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年2月13日 15時