184標的 決戦へ向かうの段 ページ34
「僕が怒るんじゃないかって思った?」
「う、うん」
「そっか。でも大丈夫だよ。僕も皆も怒ってなんていないから。でも、今度からは自発的に話してくれると嬉しいな〜」
「分かったよ。変な心配かけてごめんなさい」
「いいよ。さぁ出来たっ」
タカ丸兄さんは会話中、手を止めていなかったらしく私の髪の毛は綺麗にすかれ髪の先は髪紐で纏められていた。
私は兄さんの顔を見ながらありがとうと告げると、タカ丸兄さんはほわんとした笑みを浮かべ「どういたしまして」と言うのだった。
支度がすんだ私は庭で待っているであろう十五の兄達の元へ急いだ。
「兄さん」
「用意は出来たか? A」
「うん。あ、あのね私、兄さん達に言わなきゃいけないことが」
「それについては気にするな。もう我々は知っているからな」
「へ? い、いつの間に」
「大事なAの事で知らないことはないぜ。だが、今度からは正直に言って欲しい。お前に隠し事をされると兄ちゃんはすっげぇ悲しい」
「留三郎兄さん……」
悲し気な表情を浮かべる留三郎兄さんと同じような表情を浮かべる十六の兄達を見て、私は心の底から後悔した。
どうして私はこんなにも優しい兄たちを裏切るようなことをしてしまったのかと自分を殴りたい衝動に駆られていると、兄さん達の声が耳に届く。
「さて、あの首飾り野郎をぶっ殺、じゃない八つ裂きにしに行くか!」
「おーーッ!!」
「ちょっと待てェェェェッ!!!」
そうだった。
絶対こうなるって思ったから黙ってたんじゃんッ!
ていうか、今ぶっ殺すって言いかけたよね!? 言い直しても八つ裂きじゃどの道意味一緒じゃん!
私は必死でいきり立つ兄達を宥め落ち着かせる。
そうでもしないと、この兄たちは本気でザンザスさんを殺りかねない。
いくら敵だからといっても命まで取るのは忍びないしね。
「お願いだから、殺しだけは本当にしないでよ。分かった?」
「…………分かった」
とても長い沈黙の後、小さな声で了承ととれる返事が聞こえ私は良しと言葉を吐き出した。
まったく、この兄たちは私の事が絡むと血の気が多くなって困ってしまう。
「それじゃあ、行こうか。決戦に」
「おぉ!!」
私の声に十六の声が重なり、私たちの心は一つとなった。
私達が掲げる目標はただ一つ……
"勝利"のみである。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます!ここの所更新が思うように進まず申し訳ありません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします_(._.)_ (2017年4月16日 22時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年4月15日 21時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - かえさん» コメントありがとうございます! かえ様のお言葉大変嬉しく思います! これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いしますm(._.)m (2017年2月26日 23時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
かえ - とっても面白いです!更新楽しみにしています。 (2017年2月26日 23時) (レス) id: ad74bb0de7 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! 誰オチエンドにするか、また別のエンドにするかいまだに悩んでいるので今の段階で誰オチと言う事が出来ません。こんな作品でも最後まで見て頂ければ心から嬉しく思います。本当に申し訳ありません。 (2017年2月17日 23時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年2月13日 15時