【忍たま×リボーン】うちの義兄は人間じゃない〜ヴァリアー編パート２〜【妖怪パロ】

１８０標的　彼の本当の目的の段 ページ30

私は力なく横たわる九代目の姿に孤児院から私を引き取ってくれた今は亡きお爺さんの姿が重なりいつになく胸が苦しくなり両目に熱が集まりだすのを感じた。
思わず泣きそうになった私は誰にも見られないように顔を俯かせる。


そんな私にいち早くき安心させるためか伊作兄さんが優しい声色で私に耳打ちをしてくれた。


「A、心配しなくても九代目は大丈夫だよ」

「ほ、本当?」

「うん。傷は深いけど、ボンゴレの医療チームなら何とか助かると思うよ」

「そっか……良かった、本当に」


私は小さく息を吐きながら目じりに溜まった少量の涙を自分の服の袖で拭い取る。
しかし状況はいまだ悪いままだし、安心するのはまだ早いだろう。


そう思った矢先にザンザスさんが声をあげ始めた。


「よくも九代目を!! 九代目のこの卑劣な仕打ちは実子であるザンザスへの、そして崇高なるボンゴレの精神に対する挑戦と受け取った!!」

「なっ!?」

「しらばっくれんな! 九代目の胸の焼き傷が動かぬ証拠だ!! ボス殺しの前にはリング争奪戦など無意味! 俺はボスである我が父のためそしてボンゴレの未来のために……貴様を殺し、仇を討つ!!」


沢田君を見下ろし自分の指に収まる指輪を見せつけながらニヤリと口元を歪ませるザンザスさん。
彼は口では親の仇と言っているが、彼の表情や雰囲気を見る限り私には彼が心からそう思っているとは到底思えずそれどころか、まるで九代目や沢田君を利用していたのではないかと思ってしまう始末。


私は自分の脳裏に浮かんだ考えを否定したかったが、リボーン君が語り始めたことを聞いて私の考えは当たってしまっていたのだと知る。


リボーン君が話したのを聞いた沢田君はショックだったのか「そんな事のために」と小さくこぼす。
ザンザスさんに利用された彼の悲しみは誰よりも深いだろう。


「憶測での発言は慎んでくださいリボーン」

「全ての発言は我々が公式に記録しています」


そう冷たく言い放ったチェルベッロに獄寺君が噛みつくように言葉を発した直後、私たちの周りの空気がガラリと変わる。
その空気は、呼吸の仕方を忘れてしまうぐらい息苦しいものだった。


「好きにしやがれ。俺はもうキレてんだ」


怒鳴ったりしているわけではないのに、リボーン君からはひしひしと怒りの感情が伝わってくる。
彼の雰囲気に押されたのかチェルベッロが少しだけ後ずさりをした。


そんな彼女達に気が付いているのかいないのか、彼は再び口を開いた。

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