167標的 霧との再会の段 ページ17
霧の守護者戦から翌日、私はいつものように学校に向かいいつものように時間は過ぎた。
兄さん達は朝からバタバタしているのも気になった私は急ぎ足で家路へと向かうが、そんな私を一つの声が呼びとめる。
「? 貴方は、クロームちゃん」
「……」
私を呼びとめたのは昨日の戦いで会ったクロームちゃんだった。
彼女は、小さく頭を下げて上げると大きな瞳をこちらに向けジッと見つめる。
「えっと、もう体は大丈夫なの?」
「……こっち」
「え? ち、ちょっと……!」
クロームちゃんは急に体を反転させたと思うと、タタッと駆け出してしまった。
このまま帰るのも忍びないと思った私は、彼女の後を追いかける事を決めて急いで足を動かした。
彼女の後を追ってたどり着いた場所は、以前怨霊を鎮めた"黒曜ヘルシーランド"だった。
もう二度と足を踏み入れることはないと思っていたが、まさかまた来ることになろうとは。
て言うか、クロームちゃんって廃墟で寝泊まりしてるの?
慣れた様子でスタスタと廃墟の中に入って行くクロームちゃんの後ろを着いていくと、ある部屋に通された。
「だ、誰だ!? お前ぇ!!」
「……クローム、どういうつもり?」
部屋に入ると中には、昨日クロームちゃんを連れてきたあの黒曜生二人組が私を鋭い目つきで睨みつける。
私は彼らに危害を加える気は毛頭に無いため、自然に両手を上にあげ降参のポーズを取った。
眼鏡をかけた黒曜生がクロームちゃんをチラリと見ると、クロームちゃんは抱えていた鞄の紐をギュッと握り小さく口を開いた。
「……骸様が、この人に聞きたい事があるって」
「骸様が?」
眼鏡をかけた黒曜生がジロッと私の方を睨むように見る。
いや、そんな目で見られても困る。
それにしても、六道さんの話はあの時で終わった筈だけど、一体あれ以上なに聞きたいんだよ。
「今、骸様と代わるね」
クロームちゃんはそう言い目を閉じ少しすると、あの独特な笑い声が私の耳に届く。
ゆっくりと顔を上げた彼女は既にクローム髑髏ではなく、六道骸に変わっていた。
ちなみに、姿はクロームちゃんだが中身は六道さんである。
「クフフ……来ていただけて光栄ですよ」
「……来ていただいたっていうか、連れてこられたんですけどね」
なんか不思議だな。
姿も声もクロームちゃんなのだが、話し方と雰囲気は六道さんなのだ。
私はいまだにクフフと笑う六道さんの方に顔を向けた。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます!ここの所更新が思うように進まず申し訳ありません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします_(._.)_ (2017年4月16日 22時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年4月15日 21時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - かえさん» コメントありがとうございます! かえ様のお言葉大変嬉しく思います! これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いしますm(._.)m (2017年2月26日 23時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
かえ - とっても面白いです!更新楽しみにしています。 (2017年2月26日 23時) (レス) id: ad74bb0de7 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! 誰オチエンドにするか、また別のエンドにするかいまだに悩んでいるので今の段階で誰オチと言う事が出来ません。こんな作品でも最後まで見て頂ければ心から嬉しく思います。本当に申し訳ありません。 (2017年2月17日 23時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年2月13日 15時