165標的 勝つ確信の段 ページ15
「心配ねーぞ。クロームの内臓は骸の強力な幻覚によって機能している」
「脈も安定しているし、少し寝てれば大丈夫だよ」
「寝てる? 本当だ」
静かな寝息を立てて安らかに眠るクロームちゃんを見て沢田君は心底安心したように笑みを浮かべた。
私もホッと息をつき、脈をとっていた彼女の手首から手を離す。
「コイツすぐくたびれるびょん。これだから人間は……」
クロームちゃんを見下ろしながらそう言う黒曜生の言葉に、私は思わず"あなたも人間でしょ!"というツッコミが頭の中に浮かんでしまったが、周りの人を見ると私がしたのと同じような表情を浮かべているのを見て、少しだけ安心した。
「犬、行こう」
「うい」
「え!? ちょっこの娘放置ですか!?」
「起きりゃ自分で歩けんだろう? その女ちやほやする気はねーし……そいつは骸さんじゃねーからな」
そう言い眠ったままのクロームちゃんを置いてスタスタと体育館を後にする二人の背中をただ見送ることしか出来ない私は、とりあえず倒れた彼女を抱き起こすことにした。
「勝負は互いに三勝ずつとなりましたので引き続き争奪戦を行います」
「明日はいよいよ争奪戦守護者対決最後のカード、雲の守護者の対決です」
「ヒバリの出番だな」
「え、雲雀さんも守護者なの?」
「そうだぞ、Aにはまだ言ってなかったな。それより……おいザンザス、どーするんだ?」
クロームちゃんの傍で小さな体をザンザスさんに向け言葉を静かに紡ぎだした。
子ども特有の高い声が体育館内にこだまする。
「次にヒバリが勝てばリングの数の上では四対三となり、すでにお前が大空のリングを手に入れているとはいえ、ツナ達の勝利は決定するぞ。そん時は約束通り負けを認め、後継者としての全ての権利を放棄するんだろーな」
リボーン君の言葉に、そう言えばそういうルールだっけと思い出しているとリボーン君は言葉を続けた。
この戦いで負ければ、私はザンザスさんのものにならなければならなくなるのだ。
私は忘れかけていた大事なことも思い出して心の中で焦る。
「あたりめーだ、ボンゴレの精神を尊重し決闘の約束は守る……雲の対決でモスカが負けるようなことがあれば、全てをてめーらにくれてやる」
そう言いニヤリと笑みを浮かべる彼にゾゾッと悪寒が身体中に走った。
この言い方をするってことは、あの機械人形が勝つと確信があるのだろう。
私は言いしれぬ不安を胸に抱くしか出来なかった。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます!ここの所更新が思うように進まず申し訳ありません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします_(._.)_ (2017年4月16日 22時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年4月15日 21時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - かえさん» コメントありがとうございます! かえ様のお言葉大変嬉しく思います! これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いしますm(._.)m (2017年2月26日 23時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
かえ - とっても面白いです!更新楽しみにしています。 (2017年2月26日 23時) (レス) id: ad74bb0de7 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! 誰オチエンドにするか、また別のエンドにするかいまだに悩んでいるので今の段階で誰オチと言う事が出来ません。こんな作品でも最後まで見て頂ければ心から嬉しく思います。本当に申し訳ありません。 (2017年2月17日 23時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年2月13日 15時