151標的 何言ったの段 ページ1
男が吐き出した言葉を耳にして、私は頭の中で軽いパニックに陥っていた。
今、この人はなんてった? 聞き間違いじゃなければ"俺の物になれ"って言ったよね。
頭の中でそう思い返すと、自分の顔に熱が集まるのを感じる。
そりゃあ私だって女の子なわけですし、少女漫画で見るようなシチュエーションに憧れることもないわけではない。
むしろ、"俺の物になれ"的な発言は結構夢に見ていたシチュエーションである。
「(いやいやいや! 落ち着け私っ! よく考えろ私ッ! この男の事だ、きっと部下的な意味で言ったに違いない……いやそう思うとなんか少しショックだな)」
「おい、何一人で百面相してやがる」
「へぁッ!? あ、いや別に何も……」
ギロリと睨まれ私は変な声が出てしまった。
だが、色々と確認しなければならないことがある為、私はおそるおそる男に声をかける。
「あの……さっきのお言葉は、そのぶ、部下的な意味ですよね?」
「……てめぇは俺の為にてめぇの力を使えばいい」
私の質問にそう返す男に、私はあぁやっぱりね。と思ったが彼は言葉を続けた。
その言葉に私は再び驚かされるのだ。
「てめぇは俺の為に動けばいい。俺だけを見ていればいい。"あの写真の様に"俺の前でだけ笑えばいい」
「"写真"?」
写真と言えば、確か初代月の守護者も一枚だけ写真を残していたっけ。
そこまで思い返し、私は一つの仮説を思い浮かべ、まさかと思いつつも彼に問いかけてみた。
「もしかして、私を"初代月の守護者"と重ねてませんか?」
そう聞くと、彼はピクリと小さく眉を動かした。
その様子から見て、おそらく図星だろう。
「何故てめぇが写真の事を知っている」
「……私は彼女の子孫です」
流石に生まれ変わりまでは話せないが、そう言うと彼は納得したのかふんっと鼻を鳴らす。
まぁ、"私、彼女の生まれ変わりなんです"なんて言っても信じちゃくれないだろうけどね。
「いくら彼女が私と似ているからといって、私は彼女の代わりにはなりませんよ。それに、貴方見たところ二十代ぐらいですし、私十四ですよ? 年齢的にも無理があります」
最後の方はついつい本音が出てしまったが、言いたい事は全部言ったぞ。
いや、だからと言ってタヒんでもいいとかは思っていない。
彼は私の言葉に怒ることは無く、その代わりにブハァっと噴き出すように笑った。
笑う時でも恐怖を感じるってまずないぞ。
ひとしきり笑い終わると、男は私の方を見ながら口を開く。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます!ここの所更新が思うように進まず申し訳ありません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします_(._.)_ (2017年4月16日 22時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年4月15日 21時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - かえさん» コメントありがとうございます! かえ様のお言葉大変嬉しく思います! これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いしますm(._.)m (2017年2月26日 23時) (レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
かえ - とっても面白いです!更新楽しみにしています。 (2017年2月26日 23時) (レス) id: ad74bb0de7 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! 誰オチエンドにするか、また別のエンドにするかいまだに悩んでいるので今の段階で誰オチと言う事が出来ません。こんな作品でも最後まで見て頂ければ心から嬉しく思います。本当に申し訳ありません。 (2017年2月17日 23時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長月シキカ | 作成日時:2017年2月13日 15時