５９標的 帰ったら説教の段 ページ9
号泣するほど泣いたわけではない私は、こぼれた少量の涙を袖で拭い取り兄さん達を見る。
「ではA。今回の件はお前に任せる……補佐は兵助、お前だ」
「分かりました」
「補佐……って何のこと?」
「あぁ。お前は"鎮め人"としてまだまだ未熟だ……だからこそ補佐が必要なんだ」
仙蔵兄さんは私と兵助兄さんの肩をポンッと軽く叩き私たちから背を向け歩き出したが、「そうそう」と言いながらもう一度私の方に振り向いた。
「事が済んだら、覚悟しておけよA。特に伊作の雷が落ちることは間違いない」
「うっ……」
「無論、私や兵助、他の者達もお前にたっぷりと言いたい事があるのだから……必ず我々の下に帰ってくるのだぞ」
「兄さん……分かった。必ず帰って兄さん達のお説教を聞くよっ!」
「それでいい。では兵助、後は頼んだぞ」
「承知しました」
兵助兄さんが恭しく仙蔵兄さんに頭を下げ、それを見た仙蔵兄さんが満足げに微笑み今度こそ私たちの前から姿を消した。
それを見届けた私は、もう一度廃墟に目を向ける。
「A。準備はいいな」
「大丈夫だよ! ……ねぇ兵助兄さん」
「何も言うな。俺もあぁは言ったが、お前の考えたことを否定する気はない。……だが、危ない真似だけはしないでくれ」
「分かってるよ」
心底心配そうな表情をして私の背中を痛くない力で叩く兵助兄さんに応えるよう小さく微笑み感謝の気持ちを言葉に紡いだ。
「ありがとう、兵助兄さん」
「あぁ……さぁ、とっとと終わらせて可愛い妹に説教をしないとな」
「うへ〜」
「うへ〜じゃない」
そう言いながらコツンッと私の頭を小突き兵助兄さんはスタスタと私の前を軽快な足取りで歩いていく。
私は小突かれた頭をさすり、前を行く兄さんの後を追った。
＊＊＊＊＊＊
Aと兵助が敷地内を探索し始めた頃。
黒曜ヘルシーランドと書かれた建物の中で特徴な髪型をした端正な顔立ちの青年がボロボロのソファーの上でゆったりと膝をくみ、目を伏せていた。
そんな彼に話しかけたのは一人の青年である。
「骸さん、敷地内に変な女が侵入していますぜ〜」
「女、ですか?」
骸と呼ばれた青年がゆっくりと目を開けながら目の前にいる鼻の頭に横一文字に傷がある青年に視線をやる。
その視線を受け青年は頬を掻きながら言葉を発した。
「なぁんかその女変なんすよれ〜。何もない所に話しかけたりして」
「そうですか」
骸はソファーから立ち上がり青年の横を通り過ぎた。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
