５６標的 最初で最後の嘘の段 ページ6
今日、私は兄さん達に初めて嘘をついてしまった。
お腹なんて痛くもないのに、そう言うと伊作兄さんが特製の飲み薬を置いて私の部屋を出ていく。
伊作兄さんが部屋から出て、階段を降りる音が徐々に遠のいていくと私はベッドを出て窓の外を見る。
すると玄関から出てきた数人の兄さんたちが妖怪の姿になって空を飛んだり、一瞬で姿を消したりしていた。
それを見て私は、チャンスは今しかない。と思い静かにパジャマから動きやすい服に着替え、ベッドに細工を施しクローゼットから小さい頃に遊んだ電車ごっこ用のロープを引っ張り出す。
電車ごっこ用ロープの結び目をほどき、片方を重たいベッドの足に括り付け窓を開け外に垂らす。
よくドラマとかで入院患者が脱走するみたいに、そのロープを使って外に出た。
長さが足りず最後らへんは飛び降りる形になったが、ふかふかの芝生のおかげで足を痛めることはなく、私はそのまま長い階段を駆け降りる。
目指すは、隣町の"黒曜ヘルシーランド"!!
＊＊＊＊＊＊
その頃家では……
「A〜ちゃんと薬飲んだかい?」
心配になり様子を見に来た伊作が再びAの部屋の扉を叩く。
しかし、いくら待っても返事はなく、伊作は仕方なく部屋に入った。
そして、伊作はすぐ違和感に気付きAが寝ているベッドの掛け布団を捲り違和感の正体が分かった。
「やられたっ!!」
ベッドに入っていたのはAではなくいくつかのクッションだった。
伊作はその部屋をそのままにして、急いでその部屋から飛び出すのだった。
「留三郎! 大変だっ!!」
「ど、どうした伊作。そんなに慌てて」
「Aがッ、Aがいないんだッ!」
「何だってっ!?」
一階で調べ物をしていた留三郎は伊作が言った言葉に酷く驚き、留三郎は一目散に外に駆けだし指笛を鳴らすと周りの森から一斉に鴉が飛び立ち留三郎の周りに飛び集まってきた。
「お前達、今すぐAを探し出すんだ。あと今外に出ている他の奴らにこの事を知らせ、そいつらも探すように伝えろ。いいな」
留三郎の言葉を理解したのか鴉たちは一声あげて一斉に飛び立ち四方へと飛び去った。
「早く見つけねぇと……Aの奴一体どこに行ったんだよ」
そう言った留三郎の心配そうな言葉が風に乗せられ消えていく。
我らの愛しい妹が、危険な目に遭わなければいいと願いながら留三郎は家の中に戻っていった。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
