５５標的 壁に耳あり障子に・・・の段 ページ5
「はぁ〜食べた食べた。もうお腹一杯っ」
「ほら、A。そこで寝てたら風邪ひくよ」
僕がそう言うと妹のAは「ん〜」とおそらくすでに夢うつつなのだろう気の抜けた声がソファーを置いている隣の部屋から帰ってくる。
そういえば、今日は体育で長距離のランニングをしたって言っていたから相当疲れているんだろう。
少し寝かせて、後で起こすか。
そう思い僕はひざ掛けとかが仕舞っているクローゼットを開けて一番大きな毛布をAにかけてやる。
顔を覗き込むと、子供らしくあどけない表情で眠っていた。
「伊作。Aは寝てしまったのか?」
「仙蔵……うん。気持ち良さそうに寝てるよ」
風呂から上がったのかタオルで髪を拭きながら僕のところにやって来た仙蔵にそう返すと、仙蔵は優しい表情で寝ているAの頭を撫でた。
Aが起きることはなかったが、くすぐったかったのか寝返りを打ち僕たちを背に向ける。
「良く寝てるみたいだな」
「そうだね。A運動が苦手だから今日の体育はきつかったんじゃないかな」
「かもしれんな……話は変わるが、留三郎から聞いたか?」
「あぁ、怨霊の棲みかの話のことかい」
僕は先ほど聞いた話を思い出しながら仙蔵の次の言葉を待つ。
仙蔵はAから視線を外し、僕の方へ視線を向けた。
「それもあるが……どうやらその怨霊共は日本人ではないらしい」
「……日本人じゃなくても、怨霊になるんだね」
「らしいな……だが、問題はそこではない。その怨霊共は、"どうやって日本まで来たんだ"ってことだ」
「あ……確かに」
普通、ﾀﾋ霊は未練のある場所や人に憑く。
勿論未練のないﾀﾋ霊はそのまま天国や地獄に行くのだが、あまりに強い未練があるﾀﾋ霊は浮遊霊や地縛霊、または怨霊になるのだ。
その事を知っている僕らは、その不自然さに気付いた。
今回騒がしている怨霊は、"一体誰に憑いてきた"のかという事に。
「とにかく……まだ調べなければならないね。"黒曜ヘルシーランド"を」
「あぁ……今は文次郎達が見回っているから私は少し寝るぞ」
「うん。おやすみ仙蔵」
僕は仙蔵にそう声をかけながら調合途中の薬づくりに戻った。
久しぶりに思いついた新薬だからか興奮していた僕は気づけなかったんだ。
寝ていたと思っていたAの瞼が開き、そして再び閉じられたという事に。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
