８７標的 正解の段 ページ37
「じゃあ折角だし、今日はあえて数学が得意でない生徒から当てていこうかな」
そう言い生徒たちを見渡す教師に恨みの視線を投げつけてやった。
何が、"あえて"だ。嫌がらせにもほどがあるだろう。
私はそう悪態をつきながら、せめて当てるなら簡単な問題で当ててくれと願った。
「じゃあ、山本。いってみるか?」
「えー、いきなりかよ」
そう言いながら椅子から立ち上がる山本君に、私はホッと息を吐いた。
そういえば、彼も数学苦手だったっけ。
「では問一を答えてみろ」
「んー、じゃあ２分の１あたりで!」
爽やかな笑顔で言い放つ山本君に先生は「適当なことを」とたしなめるが、よくよく計算すると正解だったようだ。
教師の正解という言葉を聞いてガッツポーズをして喜びの声をあげる山本君の声を聞きながら、私は自分のノートに書いた問一の答えに赤ペンで丸を付けた。
「いいぞー武ー! 今日は大トロだー!」
「お、親父〜……」
いきなり保護者席から声をあげたのは板前さんの様な服装をしたおじさんだった。
そのおじさんに"親父"と言って反応した山本君を見て、あぁあの人は彼のお父さんなんだと理解する。
山本君のあの明るさはお父さん似なんだと思っていると、今度は私に白羽の矢が刺さってしまった。
「山本も頑張ってるし、次の問二は秋月! いってみろ」
「うぇっ!? は、はい!」
急に指名されたため、少しどもったが私は深呼吸を繰り返して椅子から立ち上がり自分のノートを見て答えた。
「えっと……答えは、５……だと、思います」
「ん、正解だ」
恐る恐る答えを言うと、教師はそう言って私から視線を外した。
私はハァと大きな息を吐き出して、椅子に腰を下ろす。
あー、緊張した。
ここで間違いでもしたら恥はかくは、後々文次郎兄さんに叱られるはで大変なことになるだろうからな。
まじで、それは勘弁したい。
そんな事を思っていると、急に前の方から舌打ちが聞こえてきた。
多分、いや絶対に獄寺君だろう。
「おい獄寺。授業参観の時くらい普通に座ってられのか」
「無理」
教師の注意の言葉にそう即答した獄寺君に、イラついたのか教師は彼に次の問いの答えを言うようせまった。
まぁ、次の展開はおおかた予想が出来る。
「７.５π」
「グッ……せ、正解だ」
「……(やっぱりね)」
彼は頭が良いんだから、あんな事を言ったって教師自身がもっとイラつくだけだろうに。
そう思いながら、私は教科書に目をやるのだった。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
