８４標的 耳が良い人の段 ページ34
私はため息と一緒にその不安を吐き出し、私は玄関の扉に手をかけたまま振り向いた。
「じゃあ行ってくるね……喜八郎兄さん、踏子ちゃんは置いて行ってね」
「……はぁ〜い」
私は目に入った喜八郎兄さんの踏子ちゃんに目をやりそう言うと、兄さんはチェッとでも言いたげな表情を浮かべ踏子ちゃんを玄関に置いた。
「じゃあ今度こそ行ってくるよ。行ってきまーす」
「行ってらっしゃいA」
私を見送る兄さん達を見て、私はいつものように学校へと向かう。
学校に向かいながら、ボソッと言葉を吐きこぼした。
「……今日の学校は、いろんな意味で騒がしいだろうな」
＊＊＊＊＊＊
教室の扉を開けると、中はいつもと様子が違っていた。
耳を澄ますと、今日はお父さんが来るとかお母さんが来るとかそういう話ばかり聞こえてくる。
お父さんやお母さんか……。
私を産んだ両親は今も何処かで生きているのだろうか。
いや、もしかしたらすでにﾀﾋんでいるのかもしれないな。
「……まぁ、どうでもいいけどね」
「A? そんな所でなに突っ立ってんの?」
「おはようAちゃん」
教室の扉の前で思考にふけっていた私に声をかけたのは、今学校に登校してきた花ちゃんと京子ちゃんだった。
おっと、こんなところでボーっとしてたら皆に迷惑だな。
「ごめん花ちゃん、邪魔だったね。あとおはよう」
「おはよう。まさかA、今日の授業参観緊張してるの?」
「ま、まぁね」
「私もちょっと緊張しちゃうよ。授業中の様子をお母さんに見てもらうの」
そう言って笑う京子ちゃんに同意しながら、私は花ちゃん達と一緒二その場を移動し自分の席に座る。
京子ちゃん達も自分の席に自分の荷物を置くと私の席に集まってきた。
しばらく彼女達と談笑していると、再び教室の扉が開かれた。
開いた扉に目を向けると、いつもの三人組が視界に入る。
山本君と獄寺君はいつも通りの様子だが、沢田君だけはどうも浮かない様子だ。
そんな彼らに京子ちゃんが笑いながら話しかけると、浮かない表情を浮かべていた沢田君が一気に元気になる。
「おはようツナ君。朝から元気ないけどどうかしたの?」
「あ、えっと……今日の授業参観に母さんが来るかもしれなくて、それでちょっとね」
「……いいじゃないか、沢田君」
「え?」
ボソッと呟いた小さな声を沢田君は意外にも聞こえていたらしく、私に聞きなおした。
沢田君って意外と耳いいんだな。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
