８３標的 問題の当日の段 ページ33
「何言ってるのさ勘右衛門! 数倍じゃなくて数百倍の間違いだよ」
「あ、そうでしたね! すみません」
この会話を聞いて私は思わずずっこけそうになった。
伊作兄さん、そこじゃない! ていうか、勘右衛門兄さんも同意しないでよ!
「とにかく、A。我々は授業参観に行くからな」
「えー……って我々ってまさか……」
嫌な予感がし、恐る恐る聞いてみると私の嫌な予感は見事的中してしまった。
「勿論、全員で行くに決まってるだろう」
「折角大々的にAの学校での姿を見ることが出来るんだ! 去年は行けなかったんだから絶対に行くぞ!」
「留三郎の言う通りだ! 私も行くぞ! な、長次!」
せめて長次兄さんだけでもまともであってくれと願うが、長次兄さんも小さく頷いたので私の願いは脆くも打ち破られたのだった。
結局私の必死の説得も無駄に終わり、今度の授業参観は十六人の兄たち全員が見にくるという事になってしまった。
そして、問題の授業参観当日。
「じゃあ行ってくるけど……兄さん達、分かってるよね。特に留三郎兄さんと文次郎兄さん、それに小平太兄さんと喜八郎兄さん、滝夜叉丸兄さん三木エ門兄さん」
私は一番問題を起こしそうな兄たちの名前を呼びながら、念を押す。
「留三郎兄さんと文次郎兄さん、それに滝夜叉丸兄さんと三木エ門兄さんは学校内で喧嘩しない事。小平太兄さんと喜八郎兄さんは学校内で塹壕や蛸壺を掘らない事。いい? 最低でもそこは守ってよ」
「そこまで念を押さなくても分かっている……こいつが余計なことさえしなけりゃな」
「はぁ!? 文次郎のアホにだけは言われたくねぇよ!」
「アホとはなんだ! アホとは!」
そう言い二人は睨みあい始めた。
これじゃあ、私との約束も到底守ってもらえそうにないな。
私は大きなため息を零したのと同時に二人の頭にバシンッと大きな音が振り下ろされた。
よく見ると、仙蔵兄さんと伊作兄さんの手には馬鹿でかいハリセンが握られている。
「この阿呆二人組め……A、こいつらが馬鹿な事をしだしたら私たちがこうやって止めるから安心しろ」
「もう、留三郎に文次郎! Aとの約束早速破る気なのかい? 仙蔵の言う通り二人は僕たちが止めるよ」
「……ありがとう。でも伊作兄さんは色々と気を付けてね」
「分かってるよ」
そう言い笑顔を見せる伊作兄さんに私は一抹の不安を一瞬感じた。
伊作兄さんの不運は、想像を絶するものだからね。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
