８２標的 容姿の良い兄たちの段 ページ32
春の穏やかな陽気は徐々に薄れ、少し運動したら汗がにじんでくる季節に移り変わる。
この季節になると、流石にブレザーは暑く感じるが衣替えの日になるまでもう少しの我慢だ。
「このプリントは必ず親御さんに渡すように〜」
帰りのホームルームで渡されたプリントに目を通すと、"授業参観の案内"と書かれている。
授業参観……か。
私は人知れずため息をつく。
「(これは、兄さん達に見せない方がいいな)」
そう思いプリントを半分に折って鞄にしまうと同時に担任の解散の号令がかかり、私は早々に帰宅することにした。
＊＊＊＊＊＊
「A。お前私たちに何か隠しているだろう」
「……い、いや別に、なにも」
夕食時に仙蔵兄さんにそう聞かれ私は、目線をあっちこっちに移動させ何でもないと言うが、仙蔵兄さんには私のごまかしは分かっているようで、言葉を続けた。
「Aは本当に面と向かっての嘘が下手だな。おおかた授業参観のことだろう」
「うっ……あ、当たり」
正解を告げると、仙蔵兄さんはやっぱりなと呆れたように息を吐いた。
視線を巡らせると、他の兄たちも同じような顔をしている。
「で、なんで"今年も"授業参観の事を隠そうとしたんだ?」
私に理由を聞いてくる三郎兄さんに私は、少々考えたのち口を開いた。
「だって、兄さん達が学校に来ると……その、兄さん達、かっこいいから……ねぇ?」
「なるほど。つまりAは目立ちたくないってことなんだね」
言いどもる私の言いたい事を雷蔵兄さんが代弁してくれたので、私は小さく頷いて見せる。
そうなのだ、私は去年も今年も授業参観のことを隠そうとしていたのはそれが理由なのだ。
「でも、先輩たちや後輩ならともかく……俺達ってそんなにいいか?」
「少なくとも八左ヱ門はないだろう」
「いやいや、八左ヱ門兄さんも凄い人気だから……ほら、一年の時お弁当持ってきてくれた時とか」
私はあの時の女生徒たちの様子を話すと、八左ヱ門兄さんは「そうか」と興味なさげに言う。
ていうか、皆興味なさすぎ!
「兄さん達、女の子にモテて嬉しくないの?」
「……ぶっちゃけ他の人間にどうこう言われたって嬉しくないね〜。それよりAの口からカッコいいって言ってくれる方が数倍嬉しい」
口に入れていたご飯をゴクンと飲みこんだ勘右衛門兄さんに、伊作兄さんが「こら」とたしなめる。
きっと、私と同じような事を言ってくれると思っていたが、伊作兄さんは全く違う事を口にした。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
