６５標的 ついに姿を見せたの段 ページ15
黒く広い空間を進んでいくにつれて徐々に自分の呼吸が荒くなるのを身に染みて感じている。
「A、大丈夫か?」
「だ、大丈夫……歩けないほどじゃないし」
「……走るから大人しくしときなよ」
そう言い私が返事をする前に兵助兄さんは私の手を掴んだまま、横抱きにして駆け出した。
普通ならここで恥ずかしさでどうこうなるのだが、それほど取り乱す事もない私は兵助兄さんに身を委ねされるがままである。
ただ……
「A少し太ったか」
「……そこは嘘でも軽いって言ってよ」
「俺たちはAと違って"嘘"はつかないのだ」
「だからごめんって! あーもう! これが終わったら絶対ダイエットするッ!」
「だったら豆腐ダイエットをオススメするのだ」
「……ありがとう」
確かに、豆腐は低カロリーだからダイエットに最適だけど……。
流石に三食豆腐はキツイ。
しかし、自分の力で動いていないというのにどんどん疲れていく。
やっぱ妖力で出来た影に長いこと入るのはちょっとヤバいかも。
「A、もう少しで出口だ。頑張れるか?」
「兄さんが運んでくれてるおかげで、大丈夫だよ」
「じゃあしっかり捕まってるんだぞ」
兵助兄さんはそう言うと私を抱きかかえる腕に力を込めさらに走るスピードを速めた。
どこを見ても景色は真っ黒な為、前に進んでいるのかよく分からない。
だけど少しして兄さんが立ち止った為、あぁちゃんと進んでたんだと納得するのだ。
器用に片手で私を横抱きにしたまま片手を目の前の黒い空間に突っ込んでいき、そのままずぶずぶと進んでいく。
影から出て兵助兄さんが私を地面に下ろした。
辺りを見渡すと映画館のにあるあの大きなスクリーンが目に入りここが映画館の中だという事が分かる。
スクリーンと言っても普段見るあの綺麗な状態ではなくあちらこちらが破けていて、この状態じゃあとてもじゃないが映像なんて映し出せない。
それよりも、この空間の空気に私はむせ返る。
「ここが怨霊の棲みか……」
前髪で隠していてもはっきりと見える、禍々しい怨霊の姿が。
"アイツが憎い""アイツが憎い"と呻き声と共に聞こえてくる怨嗟の声が。
こんな怨霊達がこれ以上力を得て町に出たら、たちまち並盛町は大変なことになる。
私はこみあげてくる吐き気や寒気を抑えながら、その怨霊達に語り掛けようと一歩足を踏み出そうとしたその時、後ろにいた兵助兄さんが私を引き寄せ私ごと自身が作り上げた影の中へと包み込んだ。
６６標的 あの人がそうだなんての段→←６４標的 影ある物は全て兵助の思いのままの段
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
