６１標的 不思議な青年の段 ページ11
沢田君達と離れしばらく林の中を駆けていると、息が切れて私はその場に立ちどまり近くに生えている木に手をついて荒い息を整える。
「大丈夫か? A」
「だ、大丈夫……ハァ、もっと身体鍛えないと駄目だね」
深く呼吸を繰り返すと徐々に呼吸が落ち着いてきた。
最後に大きく息を吐くと、後ろの方からガサッと物音がし兵助兄さんと共に後ろを振り向くと、なんとも言い難い髪型の綺麗な顔をした青年が立っていた。
なんだろう。
この人を見てるとあの南国果実を思い出す。
そんな失礼なことを思っているなんてつゆとも知らない彼はホッとしたような表情を浮かべ口を開きながら私達に近づく。
私達っていっても相手から見たら私一人しかいないように見えるがな。
「助けに来てくれたんですね。ありがとうございます」
「へっ? 助け?」
「違うんですか?」
眉を下げ首をコテンッと傾げる青年に、私はどう答えようか少し迷った。
だって、ここで違うなんて言ったら、目の前の彼を残念がらせてしまうし……だからといってこの人を連れたまんま、怨霊と対峙するわけにもいけないし……。
私は雷蔵兄さんのように腕を組みうんうんと悩んでいると、おずおずと青年が言葉を発したのを聞いて、私はハッと我に返る。
「あの……大丈夫ですか?」
「だっ大丈夫です! えーと……誠に申し訳ないんですが、私はここに別の理由で来たわけでありまして」
「別の理由、ですか? それは一体?」
「えぇ……まぁ理由は言えないんですけどね。逃げたいんでしたらここから真っ直ぐ進んだらぬけられると思うんで」
「今質問しているのは僕ですよ」
急に雰囲気が変わった青年の冷たい言葉に、周りの空気が低くなったような気がした。
私とは逆の目を隠すように垂れていた前髪が風に揺れ、その下が暴かれる。
彼の右目は真っ赤でその瞳には"六"の文字が刻まれていた。
ただのオッドアイなら何も思わないのだが私はその目に異様な気配を感じた瞬間、隣で様子を見ていた兵助兄さんが私の名を呼びながら声を荒げた。
それと同時に目の前の青年が己の右目を抑え、小さく呻きながら膝をつく。
「A! 走れっ!!」
「えっ? でもこの人」
「いいから早く!!」
兵助兄さんのただならぬ気迫に私は兄さんの言う通りに彼の横を走り抜けた。
この時、謝罪を言うのも忘れなかった。
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長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! リクエスト通りに書けたか心配してましたが、ニャン将様に喜んでいただけて私も心から嬉しく思います!! これからも頑張りますのでよろしくお願い致します_(._.)_ (2017年1月26日 12時) (
レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 長月シキカさん» 読ませていただきましたああぁぁあ! もうなんと御礼をもうしたらいいか分かりません!! これからも応援させていただきます! (2017年1月26日 1時) (レス) id: f1e49753f8 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» リクエストされていたお話が出来ましたので閲覧していただければ幸いです＾＾ (2017年1月19日 20時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます! (2017年1月11日 18時) (レス) id: 74292a2e84 (このIDを非表示/違反報告)
長月シキカ(プロフ) - ニャン将さん» コメントありがとうございます! ニャン将様のリクエスト是非受けさせてもらいます＾＾ 話しの都合上番外編として書かせていただきます。 リクエストありがとうございます_(._.)_ (2017年1月11日 18時) (レス) id: 638c65a19d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年1月6日 22時
